【e絵本】時計の勉強、こんなに楽しい「はとのクルックのとけいえほん」

 今回紹介するのは、子どもたちにとってハードルの高い時計の読み方を、物語の中で遊びつつ学べる絵本アプリだ。「はとのクルックのとけいえほん」、iPad対応、800円。文・絵/たちのけいこ、日本出版販売より配信中。

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はとのクルックのとけいえほん
はとのクルックのとけいえほん 全 5 枚 拡大写真
 「時計を読めるようになる」というのは、筆者の経験上、かなり努力のいることだと思う。「もう、なんでわからないの」と母に言われ、べそをかきかき文字盤を見つめた、小学2のあの日…。

 さて、今回紹介するのは、子どもたちにとってハードルの高い時計の読み方を、物語の中で遊びつつ学べる絵本アプリだ。「はとのクルックのとけいえほん」、iPad対応、800円。文・絵/たちのけいこ、日本出版販売より配信中。

 もともとは、2001年にくもん出版から、書籍版として刊行された本作。ベストセラーを経て、アプリ化の運びとなった。

 かぜで寝込んでしまった森の時計番・カッコウさんのかわりに、その役を任されたはとのクルック。気の向くままに針を動かす彼を手伝うように、読み手は画面に表示された文字盤上の針を回して、読み進めていく。

 人気の秘密はなんといっても、「親しみやすさ」だろう。要素のひとつに、天真爛漫なクルックや、それに翻弄される村の面々といった、キャラクターの個性が立っていることがあげられる。はじめての子には「難しそう」と敬遠されがちな時計の学習を、お話のもつ魅力でぐっと身近に感じられるのだ。ストーリー展開もよく計算され、違和感がない。

 さらには、文字盤の下にデジタル時計のような枠があり、針の指す時間が数字で表示される機能も親切。大人になるとあまり意識しないが、時計を読むには「長い針と短い針の意味」や「60進法」、「1と2の間は1と捉える」といった数々の概念を頭の中でまとめる必要があるので、答えが下に表示される安心感は大きい。この機能は表示しないこともできるので、慣れてきたらはずして読んでもいい。

 お話とは別に、ゲーム感覚でたっぷり時計を遊べる「クルックのいちにち」コーナーも。はじめは“なんのことやら”顔の子どもたちも、楽しいアプリに何度も触れているうち、きっと時計に慣れてくれるはず。

 無理をさせず根気よくフォローして、上達をゆっくり見守ってあげてほしい。

《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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