【高校生デジタル事情-2】難関高校生10人に聞く「試験対策と普段の学習状況」

 第2回の今回は「試験対策と普段の学習状況」として、通塾や家庭学習、試験対策や受験勉強に関する考えなどを紹介する。

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参加者は、難関大学を目指す首都圏有数の進学校の生徒10名
参加者は、難関大学を目指す首都圏有数の進学校の生徒10名 全 4 枚 拡大写真
 イードは、高校生の大学受験対策や普段の学習、学校や家庭でのデジタル利活用実態の調査を目的に10月28日、高校1〜2年生の男女10名の座談会を開催した。スマートフォンで大学受験対策が行える「大学受験倶楽部」を提供するNTTラーニングシステムズの協力を得て、スマートフォンを活用した学習の効果や期待についても意見を聞いた。

 参加者は以下のとおり(仮名)。いずれも難関大学を目指す、首都圏有数の進学校の生徒だ。

男子:健太さん(暁星高等学校・高2)、翔さん(開成高等学校・高1)、直也さん(開成高等学校・高1)、徹さん(海城高等学校・高1)、雅人さん(鶴見大附属高等学校・高1)

女子:優香さん(カリタス女子高等学校・高2)、玲奈さん(カリタス女子高等学校・高2)、彩夏さん(渋谷教育学園渋谷高等学校・高1)、美加さん(神奈川女子御三家・高1)、亜美さん(神奈川女子御三家・高1)
※以下、敬称略

 全3回で「スマホやパソコン等の利用状況」「試験対策と普段の学習状況」「スマホを使った学習効果と期待」について連載する。第2回の今回は「試験対策と普段の学習状況」として、通塾や家庭学習、試験対策や受験勉強に関する考えなどを紹介する。

◆通塾は3割、試験対策は2週間前からしないまで様々

 塾に通っていると回答した生徒は、女子ばかり美加、亜美、優香、玲奈の4名。「勉強は塾や塾の自習室でするが、家ではほとんどしない」という美加は、宿題は学校で終わらせ、勉強は塾が中心だという。

 定期テスト対策は、「2週間前から始める。1日3、4時間程度」(彩夏、美加)、「3日前から1時間程度」(雅人)、「一夜漬け」(亜美、直也)、「特に勉強しない」(翔)など。しかし、試験勉強は一夜漬けという直也は「得意な教科は何回も見返して身についているので」と、普段から勉強していれば特に試験対策をしなくてもいいということのようだ。

◆PCで語彙力診断や映像授業を利用

 パソコンなどのデジタル機器の学習への活用としては、「英語の語彙力診断」サービスを使ったことがあるのが翔。「映像授業の視聴」(彩夏、翔、玲奈)という回答もあった。

◆通学のスキマ時間に暗記科目を学習

 参加者10名は皆、電車通学で、通学時間は30分以下が7名(彩夏、健太、美加、亜美、徹、優香、玲奈)、40分(雅人)、約1時間(翔、直也)。

 通学時間にしていることは、「試験前や試験中は勉強」(彩夏、徹)、「試験前は暗記科目を読んで、家で書いて覚える。ほかには、英語は語彙力だと先生に言われるので英単語を覚えようと思っている」(美加)、「速読英単語や速読古文単語を見る」(徹)など、通学のスキマ時間を活用して暗記科目の学習をしている生徒が多い。

 ほかには、「レポートの課題があるとき、電車の中でケータイやiPod touchで書いて、後でメールでPCに送る」(翔)という回答もあった。スマホで学べる大学受験倶楽部の「ザ・ドリル」の体験で翔は、モバイルを活用した学習は「混雑時の電車で本を広げる必要がない」ことを利点と捉えていた。

 なお、暗記科目の攻略法としては、「赤い暗記シートを利用」(亜美、玲奈)、「プリントにマーカーで線を引く」(翔)などの従来からの学習法に加え、美加からは「青で書くと脳に入るらしいと塾の先生に聞いたので、重要項目は青で書く」という発言も出た。

◆6割は高2までに受験勉強をスタート

 大学受験勉強のスタートは、高2からと答えたのが健太、徹、優香、玲奈の4名。高3からが彩夏、雅人、翔、直也の4名。うち、彩夏と直也は「高3で部活を引退するまでは部活に専念したい」と考えている。「すでに大学受験対策をしている」のは高1の美加、亜美の2名で、亜美は「中3から予備校に通っている」という。

 両親と勉強について話すかどうかについては、「話さない」が健太、亜美、直也、玲奈の4名。ほかも「父は無関心で、母は口を出すけれどあまり参考にならないので自分が思う通りにやっている」(彩夏)という発言に代表されるように、親と話すというよりは、「説教だけ」(雅人)、「わかりきったことしか言わない」(彩夏、徹)、「参考にならない」(翔)など、親からの一方通行になっているケースが多いようだ。

 一括りに難関進学校の生徒といっても、学習時間や受験勉強の開始時期には、かなりのばらつきがあることがわかった。しかし、高3になってから受験勉強を始めると回答した中にも、集中して対策をすれば巻き返しが図れると自信をもっている生徒もいた。また、通学などのスキマ時間を活用して英単語などの暗記科目を学習をしている高校生の実態も明らかになった。

 第1回の「スマホやパソコン等の利用状況」に続いて、「試験対策と普段の学習状況」を紹介した。第3回では「大学受験倶楽部」の「ザ・ドリル」を例に「スマートフォンを使った学習効果と期待」について紹介する。

《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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