広尾学園のインターナショナルクラス1期生、UCLAとトロント大学に進学

 広尾学園は、トップレベルの国際人を育成することを目的としたインターナショナルクラスを設けており、同クラスの1期生が2013年3月に卒業した。UCLAやトロント大学といった海外名門大学への進学を決めた卒業生2名と、4月から同学園の校長に就任した田邉裕氏に話を聞いた。

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校長先生と海外の大学について語る卒業生
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◆インター1期生はUCLAとトロント大学に進学

 広尾学園は3月にインターナショナルクラスの第1期生11名の卒業を迎え、国内の早慶・ICUといった大学に進学した生徒が多い中、海外の大学を志望した2名がカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とトロント大学への進学を決めた。

 UCLAへの進学を決めた山口真凜さんは、生まれて間もなく両親の仕事でニューヨークに移り住み2年間過ごす。その後の8年間をロンドンで過ごし、帰国後に通っていたインターナショナルスクールから、中2の夏に広尾学園に転入したという。ロンドン生活が長かったが「インターナショナルスクールの影響ですっかりアメリカンな英語になってしまいました」と屈託なく笑う。

 UCLAではリベラルアーツを学ぶが、ほかにも早稲田大学の国際教養学部、カリフォルニア大学バークレー校、同サンタバーバラ校、ニューヨーク大学にも合格したという。UCLAに比べ、国際ランキングでも上位で就職にも有利だと言われるバークレー校ではなくロサンゼルス校を選んだのは、自分が行きたかった大学だからだと話す。リベラルアーツを選んだ理由も、基礎的な知識を身に付け、そこから自分の興味のある分野への知識を深めていきたいと考えているからだと語る。

 カナダのトロント大学を進学先に決めた尾崎みみ子さんは、ビジネスとeコマースを学ぶという。彼女もまた、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)、サイモンフレーザー大学、ビクトリア大学などカナダの名門校を受験し合格した。彼女はUBCに足を運んだこともあり、強い興味を持っていたが最終的にトロント大学を選んだと話す。理由はトロント大学のビジネスコースの評判と、現地の友達が多いことだという。

 尾崎さんが興味を持つのはホスピタリティと経営。この分野に興味を持ったのは、小学生のころから人に喜んでもらうことが好きでボランティア活動に従事しているうちに、ホスピタリティやおもてなしの心に惹かれたからだと話す。

 高校1年生の時にはすでにホテルビジネスに興味を持ち、現在の進路を決めていたという。夏休みに知り合いのペンションでアルバイトをしたり、ハイアットリージェンシーで企画に携わる人にインタビューをするなど、授業以外での勉強も怠らなかった。広尾学園を卒業した現在は、9月の入学までインターンとしてホスピタリティに関連する企業に携わっているという。

◆海外の大学に入学するための勉強方法とは

 インターナショナルクラスの第1期生として、海外の複数の名門校に合格するという実力を発揮した2名だが、実際、どのような勉強をしてきたのだろうか。後輩や同様に海外大学を目指す高校生の参考になるような受験対策はあるのだろうか。

 山口さんは「日本の大学受験は入試のため最後の1年に集中する傾向があると思いますが、海外の大学受験は3年間を通じての成績が考慮され、授業以外のボランティア活動やクラブ活動なども重要な評価ポイントとなります。3年間、成績を落とさないよう神経を使いました」と話す。

 英語力も伸ばす必要もあり、先生に頼んで現代文などの授業をTOEFL対策などに調整してもらったりと変則的な授業を組んでもらったという。第1期生は少人数だったからという理由もあるとのことだが、「広尾学園の先生は、そういった生徒へのサポートを心からしてくれるので、非常にありがたかった」と語る。

 尾崎さんも、海外の大学受験をメインに考えていたため、国内の受験対策やスケジュールより3年間の授業や課外活動などに集中していたという。「広尾学園の先生はとてもフレンドリーですが、成績に関する指摘や助言はハッキリ言ってくれる」と話す。大学で必要な英語力はもちろんだが、日本語もしっかり学べることも広尾学園の特徴だという。「本当の意味でのバイリンガルを育ててくれる」と学校の体制と担当教員を評価する。

 帰国子女として広尾学園のインターに入学した2人によると、帰国子女は日本語がうまくしゃべれないことで苦手意識を持つという。2人にとっては、帰国後広尾学園に通うことで日本語がうまくなったと親に褒められたそうだ。英語が話せることだけでなく、日本語も文化や歴史の理解も国際人として必須だと肌で感じ、自らの成長に喜びを感じたのではないだろうか。
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《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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