富山大学医学部内エコチル調査富山ユニットセンターは2025年7月28日、妊娠女性のパートナー男性における「労働時間と精神的苦痛との関連について」の調査結果を公表した。妊娠女性のパートナー男性が長時間労働をすると、精神的苦痛と関連することが明らかになった。
調査は、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加する4万4,996人の妊娠女性のパートナー男性を対象に、労働時間と精神的苦痛との関連について調べた。
妊娠女性のパートナーの1週間の労働時間「平均して週に何時間働くか(残業含む)」は、「45~50時間以内」24.1%がもっとも多く、ついで「45~50時間以内」24.1%、「40時間以内」21.6%、「55~65時間以内」16.2%、「65時間以上」15.2%、「40~45時間以内」13.3%、「50~55時間以内」9.6%となった。
精神的苦痛の評価は、ケスラー心理的苦痛スケール(K6)を用いて算出。K6は6項目の質問から合計点数が高いほど「精神的な問題がより重い可能性がある」とされる評価方法で、合計点数5~12点は「軽度の精神的苦痛あり」、13点以上は「重度の精神的苦痛あり」と判定している。
1週間の労働時間が40時間以下を基準とする「軽度の精神的苦痛を感じるリスク」は、1週間の労働時間が55~65時間以内で1.12倍、65時間以上で1.34倍だった。一方、「重度の精神的苦痛を感じるリスク」は、1週間の労働時間が40時間以内に比べ、65時間以上で1.84倍にのぼった。傾向検定では、1週間の労働時間の長さと、軽度・重度の精神的苦痛との間に正の関連が認められた。
よって、妊娠女性のパートナーが1週間の労働時間が55時間以上は「軽度の精神的苦痛」、65時間以上は「重度の精神的苦痛」を感じることがわかった。妊娠女性のパートナーは、父親になることや家族が増えることが精神的な負担となる可能性もあることから、職場において労働時間を適切に管理するとともに、父親を支えるサポート体制を構築する必要性があるとしている。