沖縄県教委、子どもの生活実態調査…全国学力テスト最下位受け
沖縄県教育委員会は11月6日、県内の児童生徒を対象に行った「生活実態調査」の結果を公表した。調査から「基本的生活習慣」が確立されていないと専門家の指摘もあり、今後の教育力向上の資料にしたい考え。
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同教育委員会は県内の公立小・中学校の児童生徒、保護者を対象に「生活実態調査」を今年7月から9月にかけて実施。対象は小学5年生1万3,927人、その保護者1万2,633人。中学2年生1万2,765人、その保護者1万502人。
生活実態や傾向を把握し、教育力向上を図る基礎資料として活用することを目的に行われた。同県は今年4月に実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で小学生、中学生ともに4科目の平均正答率が全国最下位だった。中学校では調査が始まった平成19年から6年連続の最下位。
朝食摂取については、「毎日食べる」と答えた小学生は約9割いたが、朝食摂取と起床時刻の関係でみると、「起床時間が7時半以降の者」の食べる割合は6割程度だが約7%は朝食をまったく食べていないと回答している。
中学生では、朝食を「毎日食べる」と答えた生徒は約8割いたが、「7時半以降に起床する者」が「毎日食べる」割合は5割を下回り、「8時以降に起床する者」の3割は朝食をまったく食べていないと回答している。
朝食摂取と就寝時間の関係をみると、小学生では「就寝時刻が午前0時以降の者」は毎日朝食を食べる割合が約6割と低くなった。中学生では「就寝時刻が午前0時以降の者」の毎日朝食を食べる割合は6割で、まったく食べない生徒は1割いた。これらのことから、睡眠時間が7時間より少ない児童は毎日の朝食を食べる割合は8割を切り、中学生では睡眠時間が6時間より少ない生徒は毎日朝食を食べる割合は6割程度となった。
就寝時間の設問には、小学生の平日は「午後9時以降、午後10時より前」が44.7%、ついで「午後10時以降、午後11時前」が37.1%で、全体でみると「午後11時より前」に就寝している児童が約9割だった。
中学生の平日の就寝時間は「午後10時以降、午後11時より前」が45.2%、ついで「午後11時以降、午前0時より前」が29.7%。小学5年生と中学2年生を比較すると平日、休日ともに、中学2年生の就寝時間が小学5年生より1時間程度遅い傾向がみられた。また、保護者の調査結果と比較すると、子どもの実際の就寝時間が多い時間帯で1割ほど認識がずれていたことがわかった。
琉球大学の笹沢良明准教授は、「毎日の朝食摂取は学力に大きく寄与する」と言い、今回の調査で親は子どもの睡眠行動を把握していない傾向がみられ、子どもの睡眠に関心を向けていくことが必要だとまとめている。
また、「よく行く外食場所」については「居酒屋」と回答した小学生の保護者は7.3%、中学生の保護者は6.2%の結果に同大学の西本裕輝准教授は、「低い数値ではない」と言い、ほかのレストランや食堂などの外食する場所に比べて帰宅時間が遅くなり、「子どものころの居酒屋の食事は生活リズムを乱し、夜更かし傾向を助長する可能性がある」と指摘する。
さらに、過剰な部活動が適度な運動と勉強のバランスを崩すことを危惧する。小学生の5割、中学生の7割が何らかの運動部活動に所属。中学生では週に6日以上活動している生徒が8割近くいる。小学生では週に4日が一番多く2割強だが、土曜と日曜日に7時間以上活動している児童が2割弱おり、中学生より上回っている。平日の活動が少ない小学生は土日で不足分を補う傾向がある。毎日や休日に長時間行う部活動によって生活リズムを圧迫している可能性があるという。
過剰気味の運動活動とは裏腹に、「家族が学校まで車で送る」と回答した保護者は小中学生とも約3割あった。
ホームページでは生活習慣のほか、授業や家庭での学習などについての調査結果や専門家らの考察も公開している。
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