【大学と就職】就職率97%は嘘? キャリアセンターの情報の見極め方

 我が子の大学選びの際、就職に強いかそうでないかが気になる保護者も多いだろう。昨今、就職活動に対する関心が高まっているが、その大半は「新卒の3割が3年で辞める」「世の中には社員を使い捨てるブラック企業という会社がある」といった暗い内容が多い。

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 我が子の大学選びの際、就職に強いかそうでないかが気になる保護者も多いだろう。昨今、就職活動に対する関心が高まっているが、その大半は「新卒の3割が3年で辞める」「世の中には社員を使い捨てるブラック企業という会社がある」といった暗い内容が多い。

 そのため、「うちの子は無事に就職できるのだろうか」「まっとうな企業に就職できるのだろうか」と不安に思う保護者がいても不思議ではない。故に、大学の就職率や就職先の実績が気になるのも当然だろう。

◆ニュースサイトなどの就職率は鵜呑みにしてはならない

 たとえば、東洋経済オンラインが大学通信の情報をもとにまとめた『最新版「大学就職率ランキング」ベスト100』というデータは、2013年に大学を卒業した学生の進路情報から、各大学の就職率をランキングにしたものだ。

 この中で、関東の文系に一橋大学の名前があり、5位に社会学部(就職率94.3%)が、7位に商学部(同93.4%)がランクインしている。ほか2学部も8位と10位にランクされており、全学部が関東文系のトップ10入りを果たしていることになる。

 だが、実際に一橋大学のキャリア支援室のデータによれば、2013年度の就職率(全学部)は96.3%となっており、大学就職率ランキングのデータと比較すると僅かだがパーセンテージが異なっている。

 この相違は就職率の定義や計算方法の違いによる。たとえば、母集団を卒業生数とするのか就職希望者数とするのかによって、最終的なパーセンテージが異なるといった具合である。そのため、学外のサイトだけを頼りに就職率(ひいては就職に強いかいなか)を判断するのではなく、必ず大学のキャリアセンターのホームページを確認していただきたい。

◆就職率は「卒業生に占める就職した学生の割合」ではない?

 だが、大学のキャリアセンターの就職率も、妄信してはいけない。たとえば、キャリアセンターのホームページを見ると、90%オーバーの高い就職率を謳っている大学がある。試しに法政大学のホームページをご覧いただきたい。96.9%と、100%近い数値が掲載されている(法政大学では、正確には「就職希望者決定率」として公表している)。

 しかし、だからと言って、法政大学が就職に強いと判断してはいけない。なぜなら、この数値は「卒業生に占める就職した学生の割合」ではないからだ。ホームページをよく見ると、以下のことが分かる。

・進路報告を回収できたのは卒業生7,111名中6,875名
・うち、就職者は5,429名

 ここから、純粋に就職率を計算してみよう。進路報告を回収できた生徒を母数として、就職者の割合を計算する。すると、(5,429÷6,875)×100=79.0%であることが分かる。謳われている96.9%と、随分と差があることが分かる。
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《高嶌悠人》

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