ベネッセが上期決算発表、通期では赤字見込み…進研ゼミ退会者数は想定下回る
ベネッセホールディングスは10月31日、2015年3月期第2四半期決算説明会を行った。上期決算は、増収増益を確保したものの、通期予想では上場来初の赤字決算を見込んだ。
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
同社副社長福原賢一氏と会見に臨んだ代表取締役会長兼社長の原田泳幸氏は、「上期のトピックスは売上、利益ともに増収増益を確保できた」と発表。7月の情報漏えい事件後の特損や会員減などのマイナス影響はあったものの、会員減が想定を下回り、マーケティング活動の凍結などがコスト削減につながったことが理由だと説明。下期については、来期黒字化に向け、新しいブランド戦略やマーケティング活動に投資を行うため「通期では増収減益、赤字決算を見込む」と語った。
上期の売上は2,331.78億円(前期比1.3%増)、営業利益262.21億円(同前9.2%増)となったものの、下期はマーケティング活動、構造改革など実施するため通期では売上4,670億円(前期比0.1%)、営業利益280億円(前期比21.9%減)、当期純利益で10億~90億円の赤字(前期比で209.3億~289.3億円のマイナス)を見込んでいる。
赤字額に幅を持たせているのは、これから本格化する構造改革の内容が確定していないためだ。改革の内容についてはこの1、2か月で発表できると原田氏はいう。
進研ゼミの在籍者数は前期比で5.4%減の2,081万人とのことだが、小学生から高校生までのタブレット講座の選択者が40%(91万人)に達し、小学講座の「チャレンジタッチ」の継続率が向上している。原田氏は、7月以降新規獲得やCM、DMを凍結したにもかかわらず、退会者数は想定を下回ったことなどから、脱DM、継続率重視の戦略は間違ってはいないと、来期の黒字化に自信を見せた。
新しいマーケティング戦略では、既存会員のリテンションを強化することでキャッシュフローを拡大していき、それを新規会員獲得につなげるサイクルを回すという。従前は、新規獲得がスタートだったため、大幅な戦略転換となる。構造改革はこのために行われるということだ。
具体的には、タブレットと紙の融合戦略、Dサプリ、エリアベネッセ、勉強なんでも相談室、セミナー、フランチャイズ、M&Aも視野に入れた塾経営、塾、通信講座の協業戦略などを挙げた。
なお、決算発表後の11月1日から新しいCMやマーケティング活動がスタートする。
※お詫びと訂正:初出時、当期純利益に誤りがありました。正しくは「10億~90億円の赤字」です。お詫びして訂正いたします。
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