むし歯の時代は終わり、高齢化社会における歯科医の必要性と需要
日本私立歯科大学協会は、これからの歯科の役割や魅力を伝える講演会を10月29日に開催。現代社会における口腔ケアの重要性、歯科大学のカリキュラムや歯科医師国家試験、卒業生の就職などの現状を解説した。
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
日本私立歯科大学協会は、全国17校の私立歯科大学・歯学部が加盟する社団法人。日本の歯科医学教育は、明治以来私立学校から始まった経緯を踏まえ、歯科医学教育および歯科医療について情報発信を行っている。今回の「歯科プレスセミナー」は、2010年10月に開始した情報発信企画のひとつで、今年で4回目を迎える。
◆誤嚥性肺炎と口腔ケアによる予防
セミナー最初のセッションは、福岡歯科大学の内藤徹教授による誤嚥性肺炎と口腔ケアに関する講演。内藤教授は、近年歯科を受診する高齢者が増えており、歯科医師に必要なスキルや現場体制などが変化してきていると説明。
内藤教授が注目しているのは、高齢者の誤嚥性肺炎だ。年齢とともに咳反射や嚥下機能が低下し、異物や細菌が肺に入り込みやすくなるため、肺炎が死因になる可能性が高くなる。しかし、歯や入れ歯の清掃によって、口腔内を清潔に保っていれば肺炎の発症を抑えることができるという。現在は、世界中の医師が注目し、多くの要介護施設や病院で高齢者への口腔ケアが取り入れられているようだ。
歯科医の知識とスキルが高齢者の誤嚥性肺炎の防止につながっており、要介護高齢者の健康管理に影響を与えている。むし歯治療という一般的なイメージが残る歯科医の活躍の場が多様化している一例だろう。
◆災害関連疾病対策にも口腔ケアが有効
続いて日本歯科大学の田中彰教授による急性期病院や災害被災地における口腔ケアの取り組みについてのセミナーが行われた。田中教授は、口腔ケアは老人介護施設だけでなく急性期病院や大規模災害の避難施設でも同様に重要であり、術後の合併症の減少や災害関連疾病を減らす効果があると説明する。
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