ブドウ糖より栄養バランスが脳の活性化や集中力に影響、東北大教授の研究
糖分の摂取よりバランスのよい食事が脳の働きに影響を与えることが東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授と大塚製薬の共同研究によって明らかになった。栄養調整食品を摂取者は、糖液・水摂取者に比べ疲労感が少なく、集中度が高く維持できることが分かった。
生活・健康
食
advertisement

実施された研究では、朝食として3種類の飲み物(栄養調整食品、糖液、水)を用意。朝食前、朝食後30分・90分・180分の4回にわたり、暗算や記憶テストなどの知的作業を実施し、朝食の種類別に脳活動と自覚症状を計測した。研究対象となったのは、朝食の欠食習慣のない健常成人6名(男女)だった。
脳活動の計測では、MRI(磁気共鳴画像)を用いて脳活動に伴う神経代謝や脳血流量の変化を間接的に測定する「fMRI」という方法がとられた。研究結果によると、栄養調整食品を摂取した人は、糖液や水のみを摂取した人に比べ、脳の認知機能などをつかさどる中核である前頭前皮質内側部での活性化がもっとも高かったという。糖分のみでは脳の活性化が十分ではなく、栄養調整食品を摂取した方が高い効果が期待できるようだ。
自覚症状の計測では、100mmのスケール上に疲労感、集中力などの評価項目の状態を記録する心理的評価方法を利用。「疲労感」を見ると、朝食後180分には、栄養調整食品を摂取した人と、糖液または水のみを摂取した人の間に明らかな差ができた。栄養バランスのよい食品を摂取した人の方が、糖液または水のみを摂取した人に比べ、疲労感が少ないこともわかった。
また、「集中度」についても同様の結果となった。朝食後30分には、栄養調整食品・糖液・水摂取者の間に大きな差はなかったが、朝食後90分には糖液・水摂取者の集中力が大きく下がった。朝食後180分を見ると、栄養調整食品、糖液、水摂取者の順番に集中度が高かった。
これらの研究結果を見ると、脳の活性化、疲労度、集中力すべてにおいて糖液より栄養調整食品の効果の方が高いことが明らかになった。これまでは、ブドウ糖などの糖分が脳の活性化に効果的だと受験期にも注目されてきたが、糖分だけでは脳の機能を十分に発揮することができず、栄養調整食品などの摂取がより効果的だということがわかった。
食事の内容は脳の活動に変化を与えるため、受験勉強にも影響すると考えられる。その一方で、たんぱく質、糖質、脂質に加え、ビタミンやミネラルを過不足なく毎日献立に並べるのは難しい。集中力が維持でき、疲労感が少ない栄養調整食品を受験生の食事に上手に活用したい。
《湯浅大資》
advertisement
【注目の記事】
この記事の写真
/
advertisement