文科省、今後10年で教職員定数3万人以上の増員を計画

 文部科学省では、今後10年間で3万1,800人の教職員定数改善を計画していることが、初等中等教育分科会の作業部会が公表した資料からわかった。拡大する教員への役割を分担し、教育の質の向上や「チーム学校の推進」を目指す。

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「チーム学校」の実現による役割分担の転換について
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 文部科学省では、今後10年間で3万1,800人の教職員定数改善を計画していることが、初等中等教育分科会の作業部会が公表した資料からわかった。拡大する教員への役割を分担し、教育の質の向上や「チーム学校の推進」を目指す。

 文部科学省初等中等教育分科会の「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」とは、学校が組織全体の総合力を高め、発揮していく学校運営の在り方等について調査審議を行うために設置された。学校運営の在り方のほか、教員と事務職員らの役割分担と連携の在り方、評価や処遇の在り方などを検討事項としている。

 作業部会の配布資料によると、日本の学校は教員以外の専門スタッフが諸外国と比べて少ないという。教職員総数に占める教員の割合は、日本が82%であるのに対して、米国56%、英国51%だった。一方、児童生徒の個別のニーズが多様化しており、教員に求められる役割は拡大。教員の1週間あたりの勤務時間は53.9時間、「国際教員指導環境調査」の参加国(平均38.3時間)で最長となっている。

 作業部会では、学校の教職員構造の転換として「チーム学校の推進」を提唱。教員を中心に多様な専門性をもつスタッフを学校に配置し、学校の教育力・組織力を向上させる。また、校長のリーダシップの下、教職員や専門スタッフがチームとして適切に役割分担をすることで、教員は授業など子どもへの指導に一層専念できる。

 平成27年度予算案では、教職員に900人の新たな定数措置を実施。学校マネジメント機能の強化や、専門人材の配置充実など「チーム学校推進」のため230人、教育の質向上・個別の教育課題への対応などによる定数改善のために670人増員する。また、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーや、学習サポーターなどの配置を拡充する。

 作業部会の案では、教職員定数改善計画は平成27年から36年までの10か年計画として考えられている。今後10年間で、教育の質の向上や「チーム学校の推進」などに必要な3万1,800人の定数改善を実施するため、法改正も予定されている。

《黄金崎綾乃》

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