就活生に納得のいくキャリアを…MyCareerCenter高嶌悠人さん・石橋正行さん 2ページ目

石橋さん：大手企業に入社する、憧れの職業に就く、という願いを果たせたとしても、その選択が学生本人にとって最良だったかは誰にも分からないものです。僕自身、夢を叶えて入社した一社目の企業では、仕事内容は社会貢献度が高くやりがいのある仕事でしたが、自分がその仕事をし続ける意義は見出せず、入社4年目に転職しました。進路選択でたくさんのことを考え、体験したからこそ届けられるアドバイスをしていきたいと思っています。

--おふたりとも既に5,000名以上の学生に触れ合い、自己実現のサポートを行ってらっしゃいますが、進路選択における今の学生の特徴はありますか。

高嶌さん：どんなに優秀なエントリーシートを書き、面接でも好評を受け取る学生だとしても、「自己肯定」を行ってこなかった学生が多いと感じます。自分が何に興味を持って、何が好きかを明確にできていないため、価値観の指標、つまり自分のものさしで企業と合う・合わないのポイントを図ることができないまま就職活動に臨んでいるように思います。

石橋さん：やりたいことがない、と漠然とした不安を持っている学生も多いです。最近では、入りたい企業や就きたい職業はあるものの、何をしたいか分からないという学生がサポートを行う中で7割くらいはいるのではないか、との実感があります。

--進路選択を行う上で大切なことは、何でしょうか。

石橋さん：「就職レース」に参加しないことです。情報不足の中で、自身とも向き合わないまま就活を始めると、結局「偏差値の高い企業」、つまり一流企業や名前の知れた大手に就職することが第一義になってしまいます。そうではなく、大切なことは自分を見つめ直し、失敗や挫折から学んだ経験を活かすことができ、満足感を得られるような働き方はどういったものかを事前に形にしておくことです。

高嶌さん：石橋さんが進路選択について話す際に、よく「個人のエゴ」という言葉を使うことがあります。好きなことや実現したいことが明確な学生は、自身にあった進路選択を行う際にとてもワガママです。僕たちは、個人が幸せだと思える働き方をすることが一番に考えていますし、その力が社会を変える原動力になると思っています。だから、そういう譲れない気持ちをもって、進路選択に望んで欲しいと願っています。

--就職や受験、新しいことに挑む学生に対し、保護者はどういったサポートをすることができると思いますか。

石橋さん：失敗してもいいから、やりたいと言ったことはやらせてあげることではないでしょうか。これからの社会では、ますます新しい価値やモノを生む力が求められていくと思います。失敗や挫折を経験した学生は、問題分析や自己解決の能力が高く、自身と向き合う姿勢も整っています。本人がやりたいと言ったことには、「きっとダメだ」「無理だと思う」といった否定的な言葉を投げかけず、まずやらせてみることです。

高嶌さん：挑戦することが大事です。自分で決めたことに取り組み、評価を得られるまでやり続けたことには自然と達成感が生まれます。その達成感が自己肯定感を生み、成功体験を生みやすい体質を育むのではないでしょうか。まずは見守って、なんでもやらせてあげることですね。

--学生自身へのアドバスを頂けますでしょうか。

高嶌さん：とにかく自己分析を行って下さい。そして、今いる家庭・学校・社会の中で自分が属しているコミュニティーだけにこだわらないようにすることが大切です。僕自身、自分の考えだけでは見つけることができなかった選択肢がたくさんあった、と実感しています。広い選択ができるようにするため、自己分析と情報収集はしっかり行って欲しいと思っています。

石橋さん：どんなに優秀な学生でも、深層心理や感情の根源にあるものを見つけきれない場合が多々存在します。自身の能力や意欲を掻き立てられるきっかけが何かということは、得手・不得手や挫折経験・成功体験から振り返ると見つかることが多い。自分ができることを明確にし、活躍できるフィールド（舞台）を決めることが大切です。

--ありがとうございました。

　高嶌氏、石橋氏が運営する就活塾「MyCareerCenter」では、2月20日から、直近5年以内に国内一流企業に内定した学生のエントリーシート約2,000枚を閲覧できるサービス「MyCareerCenter ES」を開始する。一般的な企業のイメージにとらわれず、実際にどのような学生が入社を果たしたのか、また、どんな人間が働いているのかをイメージしやすくすることが狙いだ。エントリーシートは今後も随時更新されていく予定で、閲覧枚数は2月20日現在、国内就活サイトでは最大級だという。