【私学訪問】自由な校風で課外活動も全力、先輩と後輩の文化が根付く「開成」
東京都荒川区にある男子の名門校、開成中学校・高等学校は東京大学合格者数トップで知られ、各界で活躍する人材を輩出してきた。東京大学名誉教授で工学博士である柳沢幸雄校長に同校の特色や教育方針などを聞いた。
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
--開成中学校・高等学校の特色を教えてください。
柳沢校長:開成学園は今年で創立144年を迎えました。私自身も開成中学校・高等学校の卒業生で、今から半世紀くらい前にここで学びました。2011年から校長を務めることになり、この学校に戻ってきて感じたのは、この学校は変わらないなということでした。
変わらない、とはどういうことかと申しますと、この学校の校名である「開成」は「開物成務(かいぶつせいむ)」という言葉がもとになっています。これは、古代中国の書物である「易経(えききょう)」に出てくる言葉で、「物を開いて務めを成すこと」。生徒ひとりひとりの素質を花開かせ、それによってきちんとした仕事をして、社会に貢献しましょう、という思いが込められているのです。
生徒ひとりひとりの素質を花開かせる、そこの部分が全然変わっていないのです。生徒たちは、「俺はこうやる」「僕はこうやる」というようなことが言えるようになるわけです。
目指しているゴール、いわば山頂は変わりませんが、変わったのは登山口です。以前は昭和という時代の登山口から「開物成務」の頂を目指していましたが、今の子どもたちは平成の時代に生まれています。平成生まれの子どもたちは別の登山口から登って行きますから、登山路は違います。でも、ゴールは同じ。だから、この学校で学んで生徒たちが身に着ける、共通の理念。それは昔も今も変わらない。それはもう、来てみて感激しましたね。
--どんな生徒が学ばれていますか。
柳沢校長:これは、私がインタビューをお受けしている理由の一つでもあるのですが、イメージとして、東大に受かる人は、青白い顔をして高校生活を送った末に東大に合格し、「おめでとう」と胴上げされているイメージがあるのではないでしょうか。開成は、そういう生徒がたくさん集まっている学校だと思っていませんか。
たしかに、東大に行く生徒は多いです。だから、入ってくる生徒は青白い顔をして、学校の中はピリピリしていて、歩きながらでも単語帳を見ている。そういう学校なのだろうということをみんな類推される。
そう思って、この学校を受験するとミスマッチが起きます。それはなぜかというと、この学校には誰ひとりとして、「君、東大行けよ」という教員はいません。
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