iPS細胞で急性腎障害軽減…京大・アステラス製薬
京都大学は7月22日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した腎前駆細胞の移植により、マウスの急性腎障害が軽減したと発表した。腎疾患にも細胞移植療法が適応する可能性を示す結果だという。
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同大iPS 細胞研究所の長船健二教授らによるグループとアステラス製薬が、腎臓の再生医療に関して共同研究を行った。研究グループでは、ヒトiPS細胞からふたつのタンパク質を発現している腎臓の前駆細胞を作製。その細胞が、腎臓の尿細管様の3次元の管構造を作る能力を持っていることを明らかにした。
さらに虚血性の急性腎障害を起こしたマウスの腎被膜下へこの腎臓の前駆細胞を移植したところ、症状が緩和することを確認。特に腎機能の指標である血中尿素窒素(BUN)と血清クレアチニンの検査値の上昇が顕著に抑えられ、組織学的な変化も抑えられたという。
今回、ヒトiPS細胞から作製し、移植した腎前駆細胞はマウスの腎臓の一部にはならなかったが、周りの細胞の回復を助ける働きがあり、腎臓の保護因子も分泌していることが確認された。
研究グループによると、急性腎障害の腎機能を回復させ、腎障害の慢性化を防ぐ可能性を示すとともに、腎疾患にも細胞移植を使った治療が適応できることを示唆しているという。今後は、慢性腎臓病や慢性腎不全の治療に向けた研究も進める予定としている。
研究成果は7月21日午前9時(米国東部時間)、「Stem Cells Translational Medicine」においてオンライン公開された。
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