iPad導入「進研ゼミプラス」来春スタート…アダプティブラーニング対応

 未就学児向け「こどもちゃれんじ」や小学生から高校生向けの通信講座「進研ゼミ」を運営するベネッセは10月27日、2016年4月より紙のテキストとデジタル教材を組み合わせた新講座「進研ゼミ+(プラス)」を開講することを発表した。

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iPadを利用した「進研ゼミプラス ハイブリッドスタイル」を体験する親子
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 未就学児向け「こどもちゃれんじ」や小学生から高校生向けの通信講座「進研ゼミ」を運営するベネッセは10月27日、2016年4月より紙のテキストとデジタル教材を組み合わせた新講座「進研ゼミ+(プラス)」を開講することを発表した。2017年までに会員の半数が進研ゼミプラスの新講座「ハイブリッドスタイル」に移行することを目指す。

◆デジタル教材を取り入れた新講座をスタート

 オリジナルテキストと赤ペン先生の添削による通信講座「進研ゼミ」は、1969年に高校生向けの講座としてスタート。「赤ペン先生」と呼ばれる全国約13,000人の講師が受講生の解答を添削することが特徴で、2014年には小学生向けの専用タブレット「チャレンジタッチ」を導入し、デジタル機器を利用した通信教育にも力を入れてきた。

 チャレンジタッチの開発に続き、ベネッセは近年教育業界に広がる「BYOD(Bring your own device、私的デバイス活用)」の動きを受け2016年4月にこれまでの進研ゼミを大きく刷新する。新講座は、従来の紙テキストで取り組む「オリジナルスタイル」と、従来の紙のテキストとiPadを利用して取り組くむデジタル教材を掛け合わせた「ハイブリッドスタイル」の2つからなる「進研ゼミプラス」。進研ゼミプラスの開講により、中学講座と高校講座は新しい2つのコースに生まれ変わり、小学講座は新しい2つのコースに加え2014年から導入されている「チャレンジタッチ」も合わせた3講座体制となる。

◆全スタイルで添削問題を刷新、記述式を増加

 進研ゼミプラスが強化した点は大きくわけて3つ。1つめは、オリジナルスタイルとハイブリッドスタイルの両方で利用される紙テキストが刷新されること。紙テキストは、これまで通常の授業テキストとして1冊にまとめていた授業と演習を2冊に分け、「授業」テキストと「演習」テキストの2種を分冊して提供する。

 赤ペン先生が添削を行う添削問題も新講座開設に合わせ刷新。記述式の問題を多く取り入れ、自分の考えを述べる力を伸ばす方式とした。ハイブリッドスタイルにおける演習テキストは、タブレットの問題を見ながら解答するノート形式を採る。従来、添削問題は紙で提出してきたが、iPadの内蔵カメラで解答を撮影し送付することも可能。デジタルでの提出の場合、添削の返却には約3日間ほどかかる。

 また、ハイブリッドスタイルのデジタル教材はすべてベネッセのオリジナルで、小学講座のチャレンジタッチで利用されるデジタル教材とも差別化を図っている。

◆赤ペン先生と「赤ペンコーチ」で個人指導を強化

 2つめの特徴は、新講座から登場する新サービス「赤ペンコーチ」の存在。添削する赤ペン先生に加え、赤ペンコーチは受講者の学習状況に応じて個別の学習サポートを行う。オリジナルスタイルでは添削課題の提出状況やマークテストの結果をもとに電話や手紙で学習をサポートし、ハイブリッドスタイルでは、デジタル教材の進度に応じiPadを通じてアプリ内のチャットやメールで学習の意欲喚起を行う。中学生や高校生には定期試験前に具体的な学習計画のアドバイスも行うという。

 ベネッセコーポレーション小中高教育サービス開発本部本部長の村上久乃氏によれば、赤ペンコーチには専用の教務画面が用意され、担当する受講生の学習が滞っている場合はアラートが鳴る。デジタル教材だからこそ蓄積できる学習データを活用したサービスといえるだろう。赤ペンコーチは従来の赤ペン先生から選任されるほか、ベネッセが設けた基準で新規採用を行う予定。

◆50万題のデータベースから個人に合った問題を提出

 さらに、ハイブリッドスタイルには3つめの特徴として個別対応システム・アダプティブラーニング(適応学習)が導入される。ハイブリッドスタイルでは、受講者本人が志望校にあわせた個別目標を設定し、現在の学力から目標を達成するための学習計画を立てる。学習計画に沿った問題を自分で選択することに加え、出題される問題は各々の解答パターンや間違った箇所に応じて選出される仕組み。

 ベネッセコーポレーション中学生商品開発部の永見良介氏によれば、個人に合わせ適切な問題を出題する個別対応システムは「ベネッセが蓄積してきた小中高50万題の問題データベースを参考に作り上げた学習ルートマップに基づくもの」。受講者が設定した個別目標を達成するためにはどのような問題を解き進めればいいか、ベネッセ独自のシステムが良問を出題する仕組みだという。

 次ページでは、ハイブリッドスタイルの価格や体験者の反応、デジタル教材の仕組みを紹介する。
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《佐藤亜希》

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