52.7%の母親が家庭学習に悩み…共働き世帯の母親1,000人を調査

 公文教育研究会は、小学校低学年の子どもがいる共働き世帯の母親1,000人を対象に、子どもの家庭学習に関するアンケート調査を実施した。その結果、52.7%の母親が家庭学習に悩みを持っていることや、母親の観察力と家庭学習の相関関係などが明らかとなった。

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共働き世帯の家庭学習に関する調査
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 公文教育研究会は、小学校低学年の子どもがいる共働き世帯の母親1,000人を対象に、子どもの家庭学習に関するアンケート調査を実施した。その結果、52.7%の母親が家庭学習に悩みを持っていることや、母親の観察力と家庭学習の相関関係などが明らかとなった。

 「小学生を持つ家庭での家庭学習実態とやる気」に関する調査は、近年共働き家庭が増加する中、子どもたちの家庭学習の状況や母親の意識・行動の実態を把握する目的で実施したもの。小学校1年生から3年生の子どもがいる共働き世帯の母親1,000人を対象に、2015年8月28日から8月30日にかけてインターネット調査で実施された。

 まず、家庭学習として何を行っているかという質問では、「学校の宿題」が94.2%と圧倒的に多く、ついで「通信教育」が30.6%、ドリルなど両親が与える課題が20.8%だった。平日1日あたりの学習時間は、平均で32.0分、頻度は平均で週に5.7回という結果だった。

 子どもの家庭学習に関して悩んでいるかどうかという質問では、「とても悩んでいる」が10.6%、「少し悩んでいる」が42.1%となり、あわせて52.7%の母親が家庭学習について悩んでいるという結果だった。家庭学習がうまくいっているか、という質問では、「うまくいっている」が65.9%だったが、そのうちの37.0%が「とても悩んでいる」や「少し悩んでいる」と回答していることから、家庭学習がうまくいっていると思っている母親も、何らかの悩みを抱えているという結果となった。

 では、家庭学習がうまくいっていると思うのはどんな状態なのかを質問すると、「子どもが自ら進んで家庭学習ができる」という回答が54.8%、「子どもが日々決められた学習量をこなすことができる」が42.0%で、うまくいっていないと思う状態は、「声をかけてもだらだらとし、すぐ行動に移さない」が53.3%、続いて「いちいち指図しないと動かない」が35.9%だった。学習に対して自主的・意欲的な姿勢がみられるかどうかが、家庭学習が「うまくいっている/うまくいっていない」を判断する根拠となっていることがわかった。

 次に、親は日ごろ子どもの学習状況や態度をどのくらい把握しているのか、子どもについて把握していることと家庭学習の取り組み状況に相関関係があるのかを調べるため、親の観察力について調査を実施。子どもについての観察ポイント17項目の中から該当するものを選択してもらい、その数によって、観察力「高」「中」「低」の3つの層に分類して比較してみたところ、観察力「高」の母親のうちの82.6%が、家庭学習の取り組みが「うまくいっている」と回答、観察力「中」では65.3%、「低」では50.3%となり、観察力が下がるほど「うまくいっている」割合が低くなっている結果となった。このことから、母親の観察力と家庭学習が「うまくいっている」ことに、相関関係があると推測できる。

 家庭学習の取り組みが「うまくいっている」層と「うまくいっていない」層を比べてみると、差が大きかった項目は、「わが子がやる気になるポイントをつかんでいる」(30.8ポイント差)、「怒ることより、ほめることを大切にしている」(27.8ポイント差)、「家庭での学習に取りかかるタイミングを把握している」(25.2ポイント差)だった。このことから、家庭学習が「うまくいっている」母親は、「やる気になること」「ほめること」「学習に取りかかるタイミング」に留意し、「子どもとの学習時間が楽しみ」と感じていることがわかった。

 また、家庭学習が「うまくいっている」母親と「うまくいっていない」母親の、子どもと過ごす時間を調べたところ、共働きの母親が子どもと過ごす時間は、平均で約98.7分。家庭学習が「うまくいっている」層は98.1分、「いっていない」層は99.9分で、ほぼ同じだった。

 そこで、生活シーンの13項目の中から該当するものを選択してもらったところ、家庭学習の取り組みが「うまくいっている」層は、「うまくいっていない」層よりも子どもと過ごす生活シーンが12項目において上回った。もっともポイント数の差が大きかったのは、「向き合って、会話をする」で、以下「トランプやカルタ、ボードゲームなどをする」「塾や習い事の送り迎えをする」が続いた。家庭学習が「うまくいっている」と感じている母親は、会話や遊び、勉強といった日常の基本的な生活の場面を子どもと一緒に過ごしていることがわかった。

 調査の結果、家庭学習が「うまくいっている」母親も「うまくいっていない」母親も、子どもと過ごす時間はほぼ同じであるが、「うまくいっている」母親の過ごし方の特徴は、子どもと「一緒に」何かをする機会が多く、このことが家庭学習によい影響を与える可能性があることがわかった。また、家庭学習が「うまくいっている」「いっていない」は母親の主観で、学習に限らず生活全般で子どもとの関わりがスムーズであることが、家庭学習においても「うまくいっている」と感じる理由になるとも考えられるという。

《塩田純子》

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