地方塾の良さと進研ゼミプラスで全国の塾をフランチャイズ支援、ベネッセ原田社長
1日、ベネッセホールディングスは、クラスベネッセのフランチャイズ化推進と「教育事業コンソーシアム」設立について発表を行った。今後はフランチャイズ方式で全国展開を広げ、進研ゼミプラスのタブレット学習や自学・自習機能による効果を訴求するねらい。
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
ベネッセでは、進研ゼミと塾の対面授業を組み合わせた教育サービス「クラスベネッセ」「進研ゼミレッツ」を展開していたが、これにタブレット(iPad)を活用した「進研ゼミプラス ハイブリッドスタイル」を組み合わせた新しいサービスを4月から展開すると発表した。クラスベネッセは、これまでおもにベネッセのグループ企業・塾での展開がメインだったが、今後はフランチャイズ方式で全国展開を広げ、多くの塾に対して、進研ゼミプラスのタブレット学習や自学・自習機能による効果を訴求するのがねらいだ。
しかし、これは単にグループ企業やフランチャイジーに進研ゼミプラスを提供するサービスというわけではない。背景には原田泳幸社長による「教育事業コンソーシアム構想」がある。「教育事業コンソーシアム構想」とは、ベネッセが開発する独自教材、DP(デジタルパブリッシング)基盤をベースとした自習教材開発ツールやサービス、個別指導、進度別指導を支援する学習管理システムといったプラットフォーム部分のほか、教室運営システム、集客・マーケティングサービス、運送・発送サービス、教務システム、決済システムなど塾運営にかかわるエコシステムも含んだ事業共同体(コンソーシアム)を構築するものだ。
コンソーシアムに参加することは、これらのリソースやエコシステムを活用できるだけでなく、対面塾において課題とされている「自学・自習」といった家庭での学習管理や学習の継続性を確保し、全体の学力アップという効果のアップが期待できる。今回コンソーシアムに参加する塾は、すでにベネッセグループ塾であるアップ、お茶の水ゼミナール、東京個別指導学院の3社に加え、熊本ゼミナール(熊本県)、信学会(長野県)、エジュテックジャパン(スクール21、埼玉県)、寺子屋グループ(愛媛県)の4社、計7社となる。どの塾も、この事業構想や「ベネッセのすばらしい教材(寺子屋グループ代表取締役社長西坂和惠氏)」に賛同して参加を決めたという。
つまり、ベネッセは、各種システムや教材など事業プラットフォームを提供し、全国の塾運営や教務、マーケティングを統合するエコシステムを構築しようとしている。教育事業コンソーシアム構想とは、全国展開の塾にはできない地域ごとの特色を生かした塾を水平協業によって束ね、お互いをwin-winの関係しようというものだ。メンバー塾は、自習教材や進度管理などの部分についてベネッセのコンテンツやシステムを利用するだけで、対面授業のオリジナリティや方針を維持できる。ベネッセにとっては、同社の中核事業である進研ゼミプラスのユーザー拡大につながる。
コンソーシアムの参加には、ベネッセとフランチャイズ契約を結ぶ必要がある。フランチャイズ制なので、「一定の教育クオリティを持っていればどんな塾でも参加できる(原田社長)」という。とはいえ、原田社長が強調するのは「外食やコンビニの従来型のフランチャイズではなく、かぎりなく水平協業・分業にちかいパートナーとしてのアライアンスになる」という点だ。売り上げや店舗数を競うフランチャイズではなく、あくまで学習効果の向上など塾や進研ゼミプラスの付加価値向上が目的ということだろう。
ベネッセや塾のメリットはわかりやすいのだが、実際に塾や教材を利用する保護者や子どもたちにとってはどういったメリットがあるのだろうか。原田社長は、「対面塾の良さと進研ゼミプラスの良さの相乗効果によって、おそらく塾と進研ゼミを別々に契約するより、学習効果を含めた総合的な価格メリット、費用対効果はある」と述べている。
さらに、コンソーシアムが広がってくれば、大手塾が実施しているような全国一斉模試を独自に展開する構想もあるそうだ。全国一斉模試の展開が始まれば、新しい指標や受験参考データの登場が期待できるかもしれない。
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