ボローニャ国際児童図書見本市で注目…日本で今すぐ楽しめる作品4選

 4月4日から7日までの4日間、イタリア・ボローニャで開催された「ボローニャ国際児童図書見本市(Bologna Children's Book Fair、ボローニャブックフェア)」。ここでは、リセマム読者に向けに筆者が選んだ日本でも今すぐ楽しめる作品を紹介しよう。

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ボローニャ国際児童図書見本市の風景/出版イベント会場
ボローニャ国際児童図書見本市の風景/出版イベント会場 全 10 枚 拡大写真
◆現地母親にきく絵本事情と、日本

 ここに紹介した以外にも、魅力的な児童書・児童向けデジタルコンテンツが山ほど集まったボローニャ国際児童図書見本市。豊富なアイテムを知る現地ボローニャの親たちは、もしかしたら我々の知らないような絵本の上手な使い方をしているのかも…。そう思い立ち、ボローニャ在住の母親たちに街頭インタビューをしてみた。最後に、その内容をお伝えする。

 「子どもには絵本をたくさん読んでいます。3人一緒に、私が声を出して読み聞かせます。デジタルは…私自身が紙の本が好きなので、今は子どもには使っていません。8歳以上になったら、絵が多いものなら与えてもいいかな」(5歳、2歳、6か月の子どもを持つ母親)

 「私は教師で、子どもには早い時期から英語の絵本も与えようと思っており、実際にそうしました。お気に入りの2冊があり、特に繰り返し読み聞かせる。デジタルは子どもには与えない方針です」(9歳、1歳6か月の子どもを持つ母親/教師)

 「初めての絵本を買いに来ました。初歩的な言葉の絵本と、音が出る絵本を購入。紙の本が好きなので、デジタルを使う予定は今のところないです」(7か月の子どもを持つ母親)

 児童書に関連した場所での聞き込みということもあり、絵本の読み聞かせを盛んにする傾向がある一方で、子どもへのデジタル使用については頑なな方針を採る母親が多いことに驚いた。日本ではデジタルコンテンツを利用している家庭も多いため、これはかなり意外な結果である。現地在住の日本人留学生である曽田希未さんは、この結果に「ボローニャに限らず、イタリア人はかなり保守的な面がある。加えてここを訪れる人は、通常よりも書籍好きが多い傾向にあるだろうから、このような結果になったのでは」と感想を述べた。

 しかし、紙の絵本とデジタルコンテンツ、両方のよさを日々目の当たりにする筆者としては、すばらしい道具が大量に提示されているのにデジタルだけを使わないというのが、なんとももったいなく思える。うまい使い方を教わろうと聞いたが、絵本に関しては大差なく、デジタルに関してはどうやら日本のほうが親たちは柔軟であるようだ。

 この例のように、子ども向けデジタルコンテンツは絵本に比べて現状「劣ったもの」と判断されがちだ。原因のひとつを筆者は、美術的な美しさを、制作側がまだまだ二の次と考えている節があるからだと推測する。制作側は、とかく技術面での進歩に価値を置きがちだ。しかし実際、本当に必要なのは、最新技術よりも育ちの段階や感性にフィットした、美的にも優れた表現である。そこを打開した代表例がたとえば「CHOMP」なのだろう。優れたコンテンツの意味を絶えず見直しつつ、作品が進化していくことを望む。
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《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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