21世紀型スキルの育成に“うねり”を…内田洋行・インテルが教育IoTで協業

 内田洋行とインテルは7月7日、内田洋行新川本社ビルで「教育IoT」の実装や検証を行う協働を目的とした「教育IoTに関する覚書」を締結したことを発表した。内田洋行の教育プラットフォームと、インテルのIoTテクノロジーを掛け合わせ、21世紀型人材の育成を目指す。

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協業を発表したインテル代表取締役社長の江田麻季子氏(左)と内田洋行代表取締役社長の大久保昇氏(右)
協業を発表したインテル代表取締役社長の江田麻季子氏(左)と内田洋行代表取締役社長の大久保昇氏(右) 全 12 枚 拡大写真
 内田洋行とインテルは7月7日、内田洋行新川本社ビルで「教育IoT」の実装や検証を行う協働を目的とした「教育IoTに関する覚書」を締結したことを発表した。小中高・大学におよぶ内田洋行の教育プラットフォームと、インテルのIoTテクノロジーを掛け合わせ、IoTや情報を駆使する21世紀型スキルを備えた高度技術人材の育成を目指す。

 情報通信技術の発達と普及により、あらゆる公共・産業分野に起こり始めているデジタル化の波。IoT(モノのインターネット)やAI(人口知能)、ビッグデータなどを活用した産業構造改革の推進が求められるなか、これからの未来には「IoTによる革新によってグローバルかつ複雑に変化する社会、そして進化し続けるテクノロジーに適応し、活用するスキルを持った人材の育成と確保が急務。」(インテル代表取締役社長・江田麻季子氏)

 時代の変化に伴う学習環境の整備と普及、国が推奨するアクティブラーニングやアダプティブラーニングなどの新たな教育方法の改善・実現を目指し、内田洋行とインテルは今後、21世紀型スキルを備えた子どもたちの育成を目的に「教育IoT」の実装と検証による取りまとめを行う。両社による教育ICTを利用した実証研究はこれまでも行われてきたが、2016年からはさらに「教育IoT」の実現に向け、大きくわけて3つの取組みを推進する狙い。

 1つ目は、ICTやIoTデータを活用した新しい教育プラットフォームづくり。内田洋行はこれまでもICTを活用した未来型の学習空間「フューチャークラスルーム」を普及してきたが、今後はさらに、呼びかけに答えて適当な画像・動画を表示させるAIを搭載した動画表示システムや、IoTを搭載した学習用途IoT機器・教具と連動した授業を可能にするなど、文部科学省が推奨するアクティブラーニングやアダプティブラーニングを加速化させる学習環境の実現を目指す。

 2つ目は、教育IoTデータ活用による授業改善や新たな教育方法を実現すること。教育環境の進化には、教育ICTやIoTを導入するだけではなく、得られる大量の情報を収集し、適切な分析から得られるデータの効果的な活用が不可欠。

 3つ目は、教育IoTデータ活用を実現するシステム環境の検討。データ処理軽減やセキュリティ対策により、教育現場が教育IoTを利用した新たな教育プラットフォームを安心して利用できるよう、品質と信頼性を確立させ、「協力パートナーを含めた教育IoTエコシステムの構築を目指す。」(江田氏)

 内田洋行代表取締役社長の大久保昇氏によると、協働を進めるにあたり、すでに解決しなければならない課題がある。教育IoTで得られる情報は大量なため、データの蓄積や可視化・分析、フィードバックが適切に行われなければ、その効果をアクティブラーニングに生かすことは難しい。

 協働を前に、内田洋行は6月に東京と大阪で行われた教育ICT製品やサービスの展示とセミナー「New Education Expo 2016(NEE)」において教育IoTデータ活用の試みを実施。セミナーに参加した教員15名を対象に、模擬授業を行った。「たった15人、数十分の授業でも膨大の量のデータが集まった。この集積や分析(の流れ)を全国規模に拡げるためにはどうしたらよいか、今後の協働で検証、実施していきたい。」(大久保氏)

 教育IoTデータの分析により教育現場の課題解決を促すため、両社は今後、指定モデル校で実証研究を行う予定。

 教育IoTを利用した新たな教育プラットフォームの導入校目標数は定まっていないが、江田氏は両社の取組みについて「今回の協業が子どもたちの学び方の変革となれば」とコメント。大久保氏は、実証研究や新環境の導入は「現在内田洋行の教育プラットフォームを利用している学校を中心に進める」としながらも、今回の数校からの取組みが「今後の教育業界における“うねり”となれば」と期待を寄せた。

《佐藤亜希》

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