【中学受験】グノーブルに聞く「過去問」活用術<国語・算数>差をつける親のサポート
受験生にとっては天王山と呼ばれる夏。半年後には入試本番を迎える中学受験生の保護者にとって、そろそろ気になり始めるのは「過去問」のこと。過去問題対策について、「中学受験グノーブル」に話を聞いた。
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◆国語科 山下倫央先生
--国語の過去問にはいつから取組み始めればよいですか。
山下先生:国語の勉強は、活字が正しく読める→筆者の多様な考えや人生体験などに触れていく(内容の吟味)→志望校対策、となります。お子さんがどの段階なのかは、同じ6年生でも一概には言えません。6年生になっても活字が正しく読めない子は意外と多いです。これは低学年からの「音読」の積み重ねで磨き上げていくもので、「音読」は大変重要です。
本文の内容がわからないのに設問が解けるということは発生しにくいので、成績が伸びない、順調とは言えないお子さんに対しては、志望校対策以前に正しく読めること、漢字、知識をしっかりやることが優先となります。したがって、過去問に取り組むにふさわしい時期はお子さんによってさまざまなので、最適なスケジュールについては塾の講師に相談してみてください。
漢字、知識についても低学年からの積み重ねですが、6年生の夏からでも遅くはありません。毎日算数のドリルを行うように、国語の漢字と知識も入試前日まで継続して取り組んでください。
--どのように復習すればよいですか。
山下先生:一般論ですが、過去問に取り組む際には、実施時間の2倍の時間を確保したほうがよいです。まず制限時間で解いてから、丸つけ、書き直し、本文読み返し、要約などを行います。解きっ放しで終わりは避けましょう。
記述の書き直しについては、他教科とのバランスを考える必要があります。優先順位が高い教科が他にあり、記述の書き直しに時間が取られないほうがよい場合もあれば、国語が課題で、何度も書き直して精度を上げたほうがよい場合もあります。他教科の仕上がりを見ながら、どの程度の負荷が適当か、塾の講師に相談されるとよいでしょう。
--過去問は何年分解けばよいですか。
山下先生:過去問は志望校への「下見」です。答えがとても見つかりそうもない抜き出し問題が連発するとか、その学校の形式を下見しておくことは本番に備えるうえで不可欠なことです。つまり、過去問にまったく触れないまま本番に臨むのは避けたほうがよいですが、だからといって何年分解いたかで大きな差は出ないと思います。先にも述べたように、過去問に取り組むに相応しい時期はお子さんによってさまざまなので、ご自分のお子さんが他の子より2か月遅れとなったとしても焦る必要はまったくありません。
--合格最低点はいつクリアできればよいでしょうか。
山下先生:極端な言い方をすると、合格最低点を超えるのは当日でよいと思います。子どもの学力というのは、なだらかに上がっていくのではなく、やってもやっても上がらないのだけれど、ようやく最後になって色々積み重ねてきたものが繋がって、グッと上がるということのほうが多いです。
学校が配点を公表していない場合も多く、過去問題集に書かれている配点は出版社の予想配点に過ぎません。つまり、合格最低点自体に客観的な裏付けがないわけです。過去問はあくまでも「下見」です。過去問の出来に浮かれてもいけないし、落ち込む必要もないということです。
--子どもが解く際に気をつけることは何ですか。
山下先生:過去問を「合否占い」のように捉えてしまうと、子どもは過去問の点数を上げれば合格に近付くと考え、それを目的化してしまいがちです。答えを写すなど、子どもが恣意的(しいてき)に点数を水増しすることを防ぐ意味でも、「合否判定」として利用する雰囲気にしてしまわない、子どもが採点するときは傍らで見守る、あるいはお子さんと一緒に採点する、などの対策をお勧めします。
よく相談を受けるのが「模試や授業の出来が振るわないけれど、過去問はとてもよくできているのですが…」というものです。実は、過去問の出来不出来よりは、模試の成績が急降下したとか、授業で集中して取り組めていないといった日常的なところで問題が生じている場合のほうが深刻です。答えを見ながら過去問を解いているというケースは毎年数多く見られます。特に国語は、子どもには到底書けないような模範解答があるため、露呈しやすいですね(笑)。
これでは、国語の過去問を解くことが、無益どころか害悪になってしまいます。「困ったら解答を見る」というスイッチを押す作業を繰り返すと、肝心の入試本番で、難解な文章に立ち向かい、くじけずに読み切るということができなくなってしまうからです。
国語の力は、普段の授業からの学習姿勢が問われます。「模範解答にはこのように書かれているけれど、これでもいいよね」といった、自分の頭の中で考えて書いてみるという作業の積み重ねが非常に大切なのです。これは4、5年生のころから始まっています。「模範解答っぽい」答えを書いておくと丸がもらえるような、知的作業を放棄した環境になっていないか、保護者の皆さんは日頃からお子さんのノートを見るなどして気を配っておくとよいでしょう。
中学校の先生は、「この文章を理解できる生徒が欲しい」と思って入試問題を作問されているはずです。設問は本文が理解できているかを確認するためのものであり、小手先で正解にたどり着けるわけではありません。国語の学習では、この「本文理解>設問回答」という主従関係を覆さないことがもっとも大切です。
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