ものづくりを加速化、慶大SFC「イノベーションセンター」運用開始

 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は8月3日、インターネットと3Dプリンター群をつなぐMakerbot「イノベーションセンター」システムの運用を開始したと発表した。日本の大学では初めての導入例となる。

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Makerbotシステムの利用
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 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)は8月3日、インターネットと3Dプリンター群をつなぐMakerbot「イノベーションセンター」システムの運用を開始したと発表した。日本の大学では初めての導入例となる。

 SFCは2013年4月、3Dプリンタや3Dスキャナ、カッティングマシンなどを利用し、デジタル技術を使ったものづくりを体験できる「ファブスペース」をメディアセンターに設置。学生・教員・職員に広く開放してきた。さらに2016年からは、学生自身が中心となってキャンパスに必要な建築や家具などを作っていくSBC(Student Build Campus)プロジェクトや、ドローン・自動車・ロボットなどの新たな先端ものづくり領域とも接続し、「ファブキャンパス」を本格的にスタートさせている。

 ファブキャンパスはデジタル工作機械の設置のほか、インターネットとつなげたさまざまなオンライン学習や管理のシステムを、学生、教員、職員が協力しながらともに実装していくことを掲げており、SFCで研究開発している、ものづくりレシピサイト「Fabble」や3Dプリント用データ検索システムはその一部である。

 3Dプリンターは出力に時間がかかることが多く、授業の課題などで利用が集中すると、ほかの人の出力が終わるまで順番待ちとなるという問題があった。また、3Dプリンターが置いてある場所に来て作業をしなければいけないという制約もあった。

 デスクトップ3Dプリンターで業界をリードするMakerbotの「イノベーションセンター」の導入することにより、利用者は個人アカウントでWeb上のシステムにログインし、3Dプリントのリクエストをメディアセンターに送ることができるようになる。メディアセンター側では3Dプリンターの稼働状況をみながらリクエストを振り分けて処理するため、3Dプリンターを効率よく動かすことができる。そのため、利用者は出力状況を専用のWebサイトやメール通知により把握できるようになり、出力後にメディアセンターに出向いて作品を受け取ることになる。

 システムの導入により時間的、物理的、空間的な制約が緩和され、3Dプリンターを効率的に利用できるようになり、キャンパス内で3Dプリンターがより一層活用されることが期待できるという。ファブキャンパス委員会委員長で環境情報学部の田中浩也教授は、「これを基点として、最終的には、地球上のさまざまなデジタル工作機械がすべてのネットワークでつながるファブ地球社会基盤システムを構築し、教育研究の両面において、新しいものづくりを牽引していきたい」をコメントしている。

 Makerbotの「イノベーションセンター」は、米国のペンシルバニア州立大学、メリーランド大学など、海外の20ほどの大学で導入されているが、日本の大学ではSFCが初の導入例となる。メディアセンターでは、レクチャーを受けながら利用するニーズにも応えられるよう、単体で使える3Dプリンターも用意している。

《外岡紘代》

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