高校教員の9割「進路指導が困難」要因は入試の多様化

 高校教員の9割が「進路指導が困難」と感じており、入試の多様化などが要因となっていることが、リクルート進学総研による調査からわかった。また、「主体性」が将来社会で必要となる能力でありながら、現在の高校生には備わっていないと感じていた。

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進路指導の困難の要因 画像引用:「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」リクルート進学総研調べ
進路指導の困難の要因 画像引用:「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」リクルート進学総研調べ 全 4 枚 拡大写真
 高校教員の9割が「進路指導が困難」と感じており、入試の多様化などが要因となっていることが、リクルート進学総研による調査からわかった。また、「主体性」が将来社会で必要となる能力でありながら、現在の高校生には備わっていないと感じていた。

 「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」は、リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルート進学総研による調査。高校の進路指導・キャリア教育の現状を明らかにするために、全国の全日制高校の進路指導主事に対して進路指導の困難度、キャリア教育の進捗状況などについて、隔年で調査を行っている。2016年10月6日~28日投函締切り(11月4日到着分まで集計対象)の調査期間で、1,105人から回答を得た。

 高校における進路指導の難しさについて、91.9%が「非常に難しい」「やや難しい」と感じていた。2014年の90.0%から高止まりとなっているが、「非常に難しい」と答えた教員は2012年の34.6%から2回連続で減少し、2016年は30.4%となった。

 進路指導を「難しい」と感じている教員に困難の要因を尋ねると、前回4位だった「入試の多様化」が1位に。2012年の17.5%と比べ、25.7%と8.2ポイントの上昇があった。その後「教員が進路指導を行うための時間の不足」25.6%、「進路選択・決定能力の不足」24.1%が続いた。また、大学・短大進学率別にみると、進学率40~70%未満と70%以上の層では「入試の多様化」が1位だったが、40%未満では「家庭・家族環境の悪化…家計面について」が1位となった。

 生徒の進学先として重視する点では、「学びたい学部・学科・コースがあること」79.0%、「学生の面倒見が良いこと」55.8%、「生徒の興味や可能性が広げられること」53.5%だった。2016年4月に行われた別調査における高校生が志望校選択時に重視する点と比較すると、「学生の面倒見が良いこと」に代わり「校風や雰囲気が良いこと」が重視されていた。

 高大接続・連携について大学・短大・文部科学省に期待することを聞くと、「入試の種類の抑制」がトップ。ついで「わかりやすい学部・学科名称」「実際の講義・研究に高校生が触れる機会の増加」となった。入試制度や学部・学科の種類が増加・複雑化している現状が、進路指導にも影響しているとみられる。

 将来社会で必要とされる能力について、「主体性」「課題発見力」「実行力」が上位だったのに対し、現在生徒が持っていると思う能力は「規律性」「傾聴力」「柔軟性」が上位となった。リクルート進学総研が以前行った別調査においても、高校生・保護者の意識は同様の傾向だったという。

《黄金崎綾乃》

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