甲南大学マネジメント創造学部推奨のSurface Pro 4、利用学生の8割超が満足

 少人数のグループで取り組む「プロジェクト型学習」を主軸とした授業を推進する甲南大学マネジメント創造学部。学習スタイルに欠かせないツールとして、学部開設時からノートPCを必携化。大学生協が2016年度、新入生に向けた推奨機に選定したのが「Surface Pro 4」だ。

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甲南大学マネジメント創造学部の井上明教授と学生たち
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 甲南大学マネジメント創造学部(兵庫県西宮市)は、甲南学園創立90周年の記念事業として2009年に開設。甲南学園の創立者、平生釟三郎氏の言葉である「世界に通用する紳士、淑女たれ」を教育方針の根幹に据え、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指している。

 少人数のグループで取り組む「プロジェクト型学習」を主軸とした授業を推進する同学部の学習スタイルに欠かせないツールとして、学部開設時からノートPCを必携化。大学生協は2016年度、新入生に向けた推奨機として「Surface Pro 4」を選定した。アナログとデジタルを融合した「新時代の文具」として活用されている同デバイスに、購入学生の8割以上が高い満足度を示したことから、2017年度にも推奨機に決定した。

 Surface Pro 4選定の背景やねらい、得られた効果などについて聞いた。

【Surface Pro 4】
 12.3インチPixelSenseディスプレイ搭載のマイクロソフトのタブレット。8.4ミリ・766~786グラム(モデルにより異なる)の薄型軽量で、高いモバイル性と高性能を兼ね備えている。タイプカバー(カバー兼キーボード)を接続することでノートPCとして利用できる2in1デバイスだ。

◆ICTが文具としてあたり前にある環境が不可欠

 甲南大学マネジメント創造学部(以下、CUBE)の「プロジェクト型学習」では、学生はいくつものプロジェクトを通じて「自学、発見、体験、実践」という学習プロセスを繰り返すことで、専門知識やスキルにとどまらず「自ら学ぶ姿勢」を身に付けていく。将来的にはそれが「生き抜く力」や「物事をやり抜く力」となり、人生をマネジメントする力に結び付いていくとしている。

 CUBEでは2009年の開設時から、アクティブラーニングやラーニングコモンズに対応した学習環境を提供し、ICT環境の整備も行ってきた。

 甲南大学マネジメント創造学部教授の井上明博士(政策科学)は、「CUBEでは全学生へIDを付与しており、そのID情報によりドアの解錠確認をはじめ、出席の登録、PCのログイン、印刷、アンケートやテストへの回答などが行えるようになっています。学内では、ありとあらゆる場所で最先端のICTが活用でき、このような『すごいことがあたり前に行える環境』を学生に提供することで、卒業生はその体験や文化を社会へ波及してくれます。そこでは『ICTが文具としてあたり前にある環境』が不可欠となるため、2009年の創設時からデジタルデバイスの必携を義務付けているのです。」と説明する。

 プロジェクトに関する調査やレポート、プレゼンテーションの作成、さらに意見交換や情報共有など、同学部の学生は大学生活のあらゆるシーンでデジタルデバイスを活用している。ここに至るまでには、幾多のトライ&エラーを重ねてきたという。

 「大学生協では毎年、新入生向けに『CUBE推奨パソコン』を販売しており、購入者の『PC利用実態調査』についてもデータ化してきました。この目的は、デバイスの利用時間やユースケースの明確化にあります。そしてこの調査の結果、利用時間は機種によって上下する一方、ユースケースについては、機種に関係なく、ほとんどがMicrosoft Officeによる入力作業であることが判明したのです。『ICT=文具』という文化の定着には、入力作業に適したノートPCを前提に、利用時間が最大化する機種を選定し続けなければなりません。慎重な機種選定を継続した結果、ようやく今の状況に到達しています。」と井上氏は振り返る。

◆Surface Pro 4を選定した学生たちの視点

 「ICT=文具」という文化の構築においては、推奨機の選定が重要なテーマとなる。CUBEでは選定作業を、実際にデバイスを活用する学生に行わせており、毎年10月~11月に、さまざまな観点から比較検討を行っている。

 新入生のPC体験やスキルはさまざまだ。幼い頃からPCに慣れ親しんだ学生もいる一方で、PC初心者も少なくない。井上氏は機種選定にあたり、「さまざまな立場の学生に入ってもらっています。CUBE推奨機は、学習効果を左右するデバイスであり、その機種選定の責任は当然重いものになります。その責任をしっかりと担ってくれるメンバーのもとで選定することが、『学内で本当に活用できるデバイス』の採用につながると考えています。」という。

 選定メンバーである4年次(当時)の山口裕也氏と細野有沙氏は、機種選定における条件としてまず、「4年間使うことができるかどうか」という視点をあげる。

 「私が入学した年度の推奨機はタブレットデバイスであり、入力作業は主に大学常設のPCで行っていました。CUBEには多くのPCが常設されているため学内では少し不便さを感じる程度で済んだのですが、就職活動の際にキーボードが必要なテストがあり、急遽、PCの購入が必要となりました。この経験から、『学外を含む4年間の大学生活のあらゆる場面で活用できること』を念頭に、キーボード入力が不自由なく行える点を重視し、デバイスを選定しました。」と、就活での経験からSurface Pro 4を推したのは山口氏だ。

 「この『4年間使うことができるかどうか』という視点は、バッテリーの駆動時間においても重要な意味をもちます。CUBEでは3限連続、つまり270分間行われる授業がありますが、たとえば最大駆動時間が5時間のPCでは、バッテリーの経年劣化も考慮すると、この授業を4年間乗り切ることは難しいのです。そこで、バッテリー駆動時間は少なくとも最大8時間以上と表記されている製品のみを候補に入れました。」と細野氏は、バッテリーに注目してSurface Pro 4を候補に加えた。

 携行性とブランドイメージに着目したのは、同じく4年次(当時)の上塚優里氏。「CUBEに通う学生の大半は電車で通学しています。携行性に優れていることも重要となるため、1.2kgを重量の上限とし、候補を絞りました。また、新入生のITに関する知識は大きなバラつきがあるため、初心者でも扱える利便性を備えつつ、上級者も満足できる魅力をもつ機種でなくてはなりません。この点では、製品としてのブランドイメージも重要な要素となります。」

 こうした学生の視点を重視した選定で、CUBEではSurface Pro 4と国産ベンダー2製品の合計3製品に候補を絞り、2015年11月より実機によるデモ検証を実施。Surface Pro 4は、このデモ検証においても学生が重視する条件をクリアしており、また口コミのレビューでもバッテリー面や利便性が高く評価されていたことから、最終選定において有力な候補となった。

◆アナログとデジタルを融合した「新時代の文具」

 井上氏は最終的にSurface Pro 4を選定するに至った決め手を、「アナログにはアナログの良さがあり、デジタルにはデジタルの良さがあります。学習環境すべてをデジタル化する必要はないと考えていますが、アナログとデジタルはまだまだ融合できる余地があると感じていました。そこでキーワードとなるのは、やはりタッチ操作や手書き機能でしょう。過去、タブレットデバイス単体を採用した推奨機では、あまり良い結果は出ませんでしたが、ノートPCとしてもタブレットデバイスとしても高い利便性をもつSurface Pro 4であれば、新時代の文具として機能すると考え、推奨機に決定しました。」と説明する。

◆8割以上の利用学生が満足

 CUBE推奨機に、国産ベンダー以外の製品採用は実に5年ぶりだったが、高いブランドイメージも背景にあり、50%以上の新入生がCUBE推奨機を購入。うち8割以上のユーザーが高い満足度を示したという。

 就職活動を機に自身でSurface Pro 4を購入したと語る山口氏は、「利便性や携行性はもちろんですが、何よりもバッテリーの駆動時間に満足しています。公式で最大9時間と謳っているのとほぼ同水準の時間で利用することができ、仮に充電を忘れてしまった場合でも、1日の授業をもちきることができています。また、ノートPCとしての用途だけでなく、プレゼンテーション時にはタブレットデバイスとしても活用でき、適宜使い分けられる2in1の利点も生きています。」と評価する。

 CUBEのキャンパスには、学生が自然に集まりコミュニケーションできる空間が各所に設けられている。学生たちは日々そこで、PCを利用した共同作業を行っている。

 「オープンスペースや授業におけるディスカッションは、授業のテーマに関する調べものとそこからの分析、考察が主になります。これまで、調べものの過程でストックしなければならない情報は、テキスト化してアーカイブしていました。ですが、Windows 10が備えるWindows Ink機能を使えば、Webページの情報に手書きでマーカーやメモしてアーカイブしていくことができます。こうしたアナログとデジタルを融合する機能を活用することで、プロジェクト全体の効率や質はまだまだ向上していけると考えています。」と山口氏。

 「甲南大学では全学生にOffice 365のアカウントが提供されており、そこでは、Office MixというPower Pointの操作過程を動画化する機能が利用できます。プロジェクトにおいて、発表は重要な場です。タブレットモードでプレゼンテーションを行うことが多いのですが、Office Mixでは発表者自身の音声、映像を含めた動画化が可能です。この動画はOffice Video上で共有できるため、プレゼンテーションのクオリティをメンバー全員で意見を出し合いながら高めることができるのです。こうした機能は無償で利用できるため、今後、積極的に活用していきたいと考えています。」と上塚氏は語る。

◆優れたサポートにより学習進捗が安定化

 学習進捗の安定化のためには、サポートも重要だ。井上氏は、「CUBEの学生にとってPCは必須なツールであり、これがないと学習が進みません。Surface Pro 4を提供するマイクロソフトは、サポートのレスポンスが抜群に早く、修理期間も1週間以内と非常に短期です。この点は、これまで推奨機に採用した数あるベンダーの中でも突出して優れています。2017年度のCUBE推奨機についてもSurface Pro 4の採用が決定していますが、これは同デバイスが学習進捗の安定化に貢献していることや、学生から高い評価を得ていることの表れだといえるでしょう。」と2年連続でSurface Pro 4を推奨機に選定した理由を説明してくれた。

◆IoEで、さらなる学び方変革

 学生のICTへの順応性は高く、Surface Pro 4はアナログとデジタルの融合に近い活用がされているという。CUBEでは現在、「IoE(Internet of Education)」という、学習にかかわるさまざまなモノとコトをインターネットに接続し、そこで収集した情報を学習支援へ活用することを目指した取組みを進めている。「IoEにおいては学生のあらゆる学習過程を情報化することが望ましく、そのためのデバイスとしても、Surface Pro 4には大きな期待を寄せています。」と井上氏は語る。

 教育現場ではICTの有効性が注目され、整備が進んでおり、個々の学習者の理解度や進度に合わせて学習内容を提供するアダプティブラーニングの活用効果にも期待されている。IoEは、まさにそのような時代の実現を見据えた取組みといえよう。

 最先端の学習環境を提供し続けてきたCUBEでは、今後、Surface Pro 4の採用などを経て定着した「ICTが文具としてあたり前にある環境」を活用することで、さらなる学び方変革に取り組んでいくとしている。CUBEの今後の発展に注目したい。

 マイクロソフトでは、世界中の教育指導者と授業案を共有、トレーニングを受講できる「Educator Community」を展開。また、教育機関向けに「Surface」およびアクセサリーを10%割きで提供している。

《編集部》

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