42都道府県、小中学校規模適正化を「検討課題」と認識

 文部科学省は4月3日、各教育委員会に送付した「学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」結果を公表。小中学校の規模適正化について、当該市区町村の数に差はあるものの、42都道府県が「検討課題である」と認識していた。

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都道府県調査 域内の市区町村における小・中学校の学校規模適正化に関する現状認識
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 文部科学省は4月3日、各教育委員会に送付した「学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」結果を公表。小中学校の規模適正化について、当該市区町村の数に差はあるものの、42都道府県が「検討課題である」と認識していた。

 「学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」は、学校統合による学校規模の適正化や、統合が困難な小規模校における教育の活性化など、各教育委員会における少子化に対応した取組みの状況などについて調査を実施した。少子化・人口減少時代に対応した活力ある学校作りに関する施策の検討に資することを目的としており、全都道府県教育委員会と全市区町村教育委員会を対象に、平成28年5月1日時点の状況をまとめている。

 域内の市区町村における小中学校の学校規模適正化について、47都道府県教育委員会のうち21都道府県が「相当数の市区町村において検討課題である」、17都道府県が「一部市区町村において検討課題である」との現状認識を示した。そのほかは「すべての市区町村において検討課題である」「近い将来一部の市区町村で検討課題となることを想定」と答えており、課題だと考えていない都道府県はなかった。

 市区町村の学校規模適正化の取組みについては、37都道府県が積極的、または要請に応じて支援を実施。具体的には、「統合校の学習面・生活面の支援や事務量・調整業務の増に対する教員定数減の緩和などの人事面での措置」「免許外指導を解消するなど小規模校の教職員配置の充実」などを行っている。

 都道府県が認識する小規模校におけるメリット最大化方策を尋ねると、32都道府県がほとんどの学校、または多くの学校で「授業でのきめ細やかな指導や放課後や長期休業中の補習などを徹底し、全員に一定レベルの基礎学力を保障」に取り組んでいると回答。また、36都道府県が「年間を通じて地域人材を活用した郷土学習を実施」に取り組んでいるとした。

 一方、市区町村教育委員会に独自に定めている学校規模などの基準があるか質問すると、1,755自治体のうち75%が「定めていない」と回答。小中学校の学級数の基準を定めている市区町村では、国の基準と同一の「12~18学級」が最多だった。

 文部科学省が通知した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置などに関する手引き(平成27年1月27日)」以降、学校規模の基準に関する取組みで「新たに基準を設定した」「基準の見直しを行った」という市区町村は3%で、89%は「予定なし」。検討中と回答した市区町村も含め、新たに設定した基準や見直しの内容は「学級数」71%、「学校全体の児童生徒数」38%、「通学距離」37%などがあがっていた。

 域内の小中学校の適正規模については、29%が「全体として必ずしも適正規模になっていない」、25%が「おおむね適正規模だが一部地域に過小規模の学校がある」などと回答。「おおむね適正規模である」は18%にとどまった。また、課題解消に向けた検討状況では、課題を認識している市区町村の42%が「課題はあるが現時点で検討の予定は立っていない」と答えた。

 また、地理的な理由などにより統合の検討対象とすることが困難な小規模校は、1,755市区町村のうち23%存在している。

 市区町村が学校規模の適正化に関して望む支援では、国に対して「教職員定数の加配措置による支援」「施設整備への補助」を、都道府県に対して「校舎の新増築・改修事業への補助」「スクールバス・ボートへの補助」「統合校の教職員定数減の緩和措置」を望む意見(複数回答)が多かった。

《黄金崎綾乃》

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