時間割ほか便利アプリの落とし穴…学生ID・パスワード、第三者への提供は危険

 同志社大学、青山学院大学、近畿大学、上智大学などは今春、アプリやサービスの利用に大学が発行した学生ID・パスワード入力が必要な時間割作成アプリ、履修管理アプリなどについて、個人情報の取り扱いについて注意を促している。

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同志社大学 重要なお知らせ 本学以外の第三者が開発したアプリ等への本学ユーザID、パスワードの入力について
同志社大学 重要なお知らせ 本学以外の第三者が開発したアプリ等への本学ユーザID、パスワードの入力について 全 4 枚 拡大写真
 入学式も終われば、履修登録の季節。大学1年生の4月は忙しい。大学生活を送るうえで便利なツールについて、アナログ・デジタル問わずさまざまな情報交換を行っている学生も多いだろう。年度の区切りに合わせ、同志社大学、青山学院大学、近畿大学、上智大学などは今春、学生に対しアプリやWebサイト、個人情報の扱いについて注意を呼びかけている。

 同志社大学は4月3日、大学Webサイト内「重要なお知らせ」に「本学以外の第三者が開発したアプリ等への本学ユーザID、パスワードの入力について」を掲載。同志社大学によると、2016年度に学生からフィッシングメールを始めとするネットトラブルの相談を受けていたことから、新年度に合わせ注意喚起を行った。注意では、大学情報システムを利用する際の学生ID、パスワードなどを入力し、さまざまなサービスを利用できると謳ったサービスがあることを指摘。「本学では、例外なく、これらのアプリケーションソフトやWebページの利用を認めておりません」と明言し、個人情報漏えいにつながる可能性のある行為はやめるよう呼びかけた。

 続く4月4日には、近畿大学も「本学以外が提供する履修管理アプリ等へのID・パスワードの入力について」緊急メッセージを掲載。近畿大学が発行したID・パスワードを入力することで、履修登録や時間割作成などのサービスが受けられるアプリ、サービスを利用している場合は「直ちにアプリを削除」し、パスワードを変更するよう促している。

 上智大学は新年度に先んじて、3月30日に注意喚起を行った。上智大学広報部によると、「毎年春にはさまざまなアプリをダウンロードし、利用する学生が増える」。なかでも、学生IDやパスワードを入力し、教室情報や教員名、個別の時間割が作成されるアプリ、サービスなどの利用は「個人情報の流出に直結する、非常に危険な行為」だという。同大学Webサイトでは、学生らに実害が及ばぬよう、「アプリケーションが『無償で提供されているのはなぜなのか』、『アプリ提供者は何を得られるのか』ということについて、今一度よく考えるようにしてください」と呼びかけた。広報部は、「実害はまだないが、先手を打って注意喚起を行った」としている。

 青山学院大学も、大学Webサイト内「学生生活におけるその他の諸注意」で「履修管理アプリ等の利用について」項目を作成し、4月3日に掲載した。青山学院大学によると、具体的には履修管理アプリ「Orario for 青学」など、大学が発行したID・パスワードを入力すると時間割作成などのサービスを受けられることを謳ったアプリ、サービスがインターネット上に出回っているが、これらは同大学以外の業者により開発されたものであり、大学とは一切関係がない。第三者にIDまたはパスワードを提供する行為は、個人情報流出の危険性があるだけでなく、「他者に損害を与える可能性」があることから、「場合によっては損害賠償請求の対象」となり得るとし、学生らに注意を促した。

 大学の注意を受け、ネット上では「どんなアプリを使ってもいいが大学のID・パスワード利用は問題あり」「(アプリ名)のこと?」「(アプリ名)知ってる」「アプリ見直す」などの声があがっており、身に覚えがある学生も多いようす。個人情報の扱いについて、一度深く考える時期としてほしい。

※編集部註:4月18日、青山学院大学の注意喚起について一部、追記しました。

《佐藤亜希》

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