2020年東京五輪の正式種目にも採用されたスポーツクライミング。競技の魅力をより知ってもらおうと実施された同イベントは、子どもから大人まで楽しめるものになった。小学生以上を対象にしたクライミングアカデミーには日本代表キャプテンの杉本怜(れい)選手を始め、野口啓代(あきよ)選手、野中生萌(みほう)選手が参加。ボルダリングワールドカップで活躍する選手たちのデモンストレーションに会場は盛り上がった。
「壁についているカラフルな石(ホールド)の同じ色を使って登ります。まずスタートを両手でしっかりつかんで、足が地面から浮いたらスタートが成立します。ここから登りはじめて、手足を使ってゴールを目指します。最後にゴールをしっかり両手でつかむと完登、登りきったことになります」
杉本選手が最初にボルダリングのルールを簡単に説明。野口選手がお手本を示し、続けてつま先を使ってコウモリのようにホールドにぶら下がる。絶妙のバランス感覚に子どもたちは大喜びだ。「一見つま先だったりぶら下がってるように見えますが、腹筋や背筋、全身に力を入れているので使わないところはないと思います」と野口選手。
次に野中選手が「ランジ」と呼ばれるホールドからホールドに飛び移る技を披露。体を大きく振ってジャンプする姿に歓声が挙がる。「手だけで飛んでるようですが、足も手も、体幹も全部使って飛んでいます」と説明し、怖がらないことが大切と笑う。杉本選手も壁に取り付くと、鯉のぼりのように体を垂直にして抜群の身体能力を見せてくれた。
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世界レベルの実演のあとはクライミングアカデミーだ。いつもは応援される側の選手たちが参加者に向かって「ガンバ!」と声をかけ、後ろから見守る。ときには体に手を添えて、クライミングをサポート。子どもたちは真剣な表情で次のホールドを目指していた。
「一生懸命トライする姿が見れて楽しかったです。これをきっかけにクライミングを続けていってくれたらうれしい」(野口選手)、「暑い中でも完登数が多くて、私も刺激をもらいました!」(野中選手)、「子どもたちはちょっと教えただけですぐ吸収して登り、大人はランジにも積極的にチャレンジしてくれて楽しくできました」(杉本選手)
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午前と午後で3プログラム行われたクライミングアカデミー。この日参加した子どもたちの中から、将来の日本代表選手が生まれるかもしれない。
会場にはボルダリングウォール以外にも、ロープで安全確保しながら登る「リード」を楽しめる高さ10mの壁、タイムを競う「スピード」の壁(通常は縦移動だが、イベントでは横移動)も設けられ、にぎわいを見せていた。