「プール熱」流行の兆し、患者数過去10年で最高に

 国立感染症研究所(NIID)が6月6日に公表した速報データによると、小児の急性ウイルス性感染症である「咽頭結膜熱」(プール熱)の患者が増加傾向にあることがわかった。5月22日から5月28日にかけて、過去10年間の同時期と比べ患者数がもっとも多く報告されている。

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国立感染症研究所(NIID)IDWR速報データ 2017年第21週
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 国立感染症研究所(NIID)が6月6日に公表した速報データによると、小児の急性ウイルス性感染症である「咽頭結膜熱(プール熱)」の患者が増加傾向にあることがわかった。5月22日から5月28日にかけて、過去10年間の同時期と比べ患者数がもっとも多く報告されている。

 咽頭結膜熱とは、発熱や咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症であり、数種の型のアデノウイルスによる疾病。夏期に地域全体で流行し、6月ごろから徐々に増加して7~8月にピークを形成していたが、現在は季節を問わず発生がみられる。

 通常、患者年齢は5歳以下が約6割を占めており、新生児への感染では重症化する場合もある。感染経路は飛沫感染または手指を介した接触感染で、プールを原因とする場合は汚染した水から結膜への直接侵入と考えられている。

 国立感染症研究所が公表した2017年21週(5月22日~5月28日)の「定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たり報告数、都道府県別」速報データによると、全国約3,000か所の小児科定点医療機関から報告された咽頭結膜熱の患者数は2,867件で、1医療機関あたり0.91人となった。定点あたりの報告数が多いのは、鹿児島1.85、北海道1.84、山梨1.83、奈良1.59、岩手1.51など。

 20週(5月15日~5月21日)の定点あたりの報告数0.65から急増しており、21週としては2007年~2017年の過去10年間の同時期と比較してもっとも高い数値となっている。

 国立感染症研究所では予防として、感染者との密接な接触を避けることや、流行時にうがいや手指の消毒を励行することを推奨している。プールによる流行に対しては、プールの塩素濃度を適正(遊離残留塩素濃度が0.4mg/l以上、1.0mg/l以下)に維持することが対策となるという。

《勝田綾》

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