明大2位、近大初首位「進学ブランド力調査2017」ランク変動に4つの要因

 リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルート進学総研は7月13日、高校生の大学に対する志願度・知名度・イメージを調べる「進学ブランド力調査2017」の結果を発表した。高校生が志願したい大学やイメージランキングを紹介する。

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関東「志願したい大学」10年間の推移
関東「志願したい大学」10年間の推移 全 12 枚 拡大写真
 リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルート進学総研は7月13日、高校生の大学に対する志願度・知名度・イメージを調べる「進学ブランド力調査2017」の結果を発表した。

 この調査は、2008年より毎年、高校3年生を対象に「志願したい大学」「知っている大学」「特徴的なイメージ」などをアンケート調査しているもの。今回は関東エリア、東海エリア、関西エリアの高校に通っている2018年3月卒業予定者(調査時高校3年生)計7万4,000名のうち、7,981名から有効回答を得た。調査対象の大学は、各エリアに所在する大学すべて、他2エリアの国立大学すべて、公立・私立大学の入学定員1,000名以上の大学。2017年は関東エリア303校、東海エリア209校、関西エリア254校が対象だった。

◆明大2位、関東1位は9年ぶり早稲田…関西は近大が初首位

「志願したい大学」ランキング
「志願したい大学」ランキング

 その結果、「志願したい大学」(志願度)で、関東エリアは2009年から8年連続1位だった「明治大学」を抜き、「早稲田大学」が9年ぶりに1位になった。東海エリアでは「名城大学」が2年ぶりに1位に、関西エリアでは「関西大学」が10年連続で1位になるとともに、同率で「近畿大学」が調査開始以来初の1位となった。

◆2強は「早稲田・明大」「名城・名大」「関大・近大」

 リクルート進学総研は同日、あわせて記者発表会を開催。リクルート進学総研所長の小林浩氏、研究員の牧田綾子氏が登壇し、今回の結果について分析した内容を発表した。

 まず「進学ブランド力調査」については、「学校側が発するメッセージと、高校生側が受け取る認識が、合致しているかを調査するもの」と定義。イメージについては、「機能価値と感性価値がある」として、それぞれが重要だとした。そのうえで全体的な傾向として、「景気回復やグローバル化の影響を受け、学生の受け取り方も学校の発信内容も変わってきている」と分析した。エリア別で見ると、関東エリアは早稲田大学と明治大学東海エリアは名城大学と名古屋大学関西エリアは関西大学と近畿大学が、それぞれ2強という状態だ。

◆10年の推移、減少する“記念受験”…関大1強体制に変化

関東「志願したい大学」10年間の推移 ※関西・東海の推移は画像ページで閲覧できる
関東「志願したい大学」10年間の推移

 特に、今回の調査でちょうど10回目ということで、この10年の推移を分析。「志願したい大学」について「景気が良くなり裾野が増えた。これにより、“記念受験”的なものが減ってきて、現実的に“チャレンジ”できる学校が上位になる傾向が強まった」とした。

 調査では、志望したい大学について、記名式で順に4校をあげてもらったが、このときに、3~4位として早稲田大学をあげる高校生が増えたという。難関校ではあるが、“チャレンジしたい存在”という思考が、早稲田の1位上昇の背景ではないかと、小林氏は分析している。

 東海エリアで名城大学が1位になったのは、同エリアの私立大学中、もっとも理系が多く、その強さが発揮された形だ。2016年に名古屋ドーム前キャンパスを開設するとともに、外国語学部を開設し女子人気が高まった影響も大きい。

 関西エリアは、当初「関西大学1強」の図式だったが、リーマンショック以降徐々にポイントが下がり、それを近畿大学が追い上げた形だ。2016年の国際学部開設や2017年春の「ACADEMIC THEATER(アカデミックシアター)」の開設で、2017年はついに同率に並んだ。ここでも、女子人気の高まりが大きく、女子の志願度が7.1%から13.4%と、ほぼ倍に伸長している。そして「どうしても関西だと、いわゆる“関関同立”の4大学が、トップブランドだとみられがちだが、近大は、それとは違うイメージ戦略を採っている。こうした序列を“ぶっ壊そう”という意志を感じる」と、大学広報が機能し、メッセージをちゃんと伝えてきたことも大きいとした。

◆大学ブランディングの肝は「視覚化」

 またこの10年で、各大学の印象が変化したことも、ランキングに影響しているのではないか、と言及。「たとえば明治大学は、一昔前なら、代表的な卒業生はビートたけしだったが、最近は北川景子、山P(ジャニーズ 山下智久)などに変化している」とのことで、そうした影響も見てとれるようだ。

 また、青山学院大学のマラソン優勝、近畿大学のマグロ開発といったトピックもランキングに影響を与えているという。「スポーツや改革も大きいが、“卒業生の活躍”は、印象に意外と大きな影響を与える。これを、どう可視化し、高校生に伝えるかも、1つのポイント」だと、小林氏は分析した。

 進学希望分野については、関東エリアのみの分析だったが、2008年から総じて増加傾向なのは「観光・コミュニケーション・メディア」「国際関係・国際文化」「工学(建築・土木)」、減少傾向なのは「人間・心理」「福祉」「地球・宇宙・科学・環境」とのこと。小林氏は「高齢化が進んでいるのに福祉が下がっているのは、懸念事項」としている。

「大学のイメージ」ランキング
「大学のイメージ」ランキング

 イメージ項目の調査では、「教育方針・カリキュラムが魅力的である」「校風や雰囲気がよい」「国際的なセンスが身につく」「就職に有利である」「おしゃれな」などのイメージについて調査。「大学の優良イメージを上げる方法」については、「大学からも聞かれるが、明確な因果関係や相関はない。これだけやっておけば大丈夫、というものはなく、複数の要因で優良イメージが上がる」と説明。

 そのうえで、ランキングを左右する要因として「知名度がそこそこある」「学びたい分野が揃っている」「継続的に改革を行っている」「“変わったとき”ではなく、“伝わったとき”」という、4つの項目をあげた。高校生にとっては、こうした部分について着目しつつ志望校を検討するのも、新たな気づきがあるだろう。

◆進学ブランド力調査2017「志願したい大学」
※昨年はすべて2016年
関東エリア 1位 早稲田大学(昨年2位)
東海エリア 1位 名城大学(昨年2位)
関西エリア 1位 関西大学(昨年1位)・近畿大学(昨年2位)

◆進学ブランド力調査2017「知っている大学」
関東エリア 1位 早稲田大学(昨年1位)
東海エリア 1位 名古屋大学(昨年1位)
関西エリア 1位 近畿大学(昨年1位)

◆進学ブランド力調査2017「大学のイメージ:国際的なセンスが身につく」
関東エリア 1位 上智大学(昨年1位)
東海エリア 1位 南山大学(昨年1位)
関西エリア 1位 関西外国語大学(昨年1位)

◆進学ブランド力調査2017「大学のイメージ:学校が発展していく可能性がある」
関東エリア 1位 早稲田大学(昨年2位)
東海エリア 1位 早稲田大学(昨年3位)
関西エリア 1位 近畿大学(昨年2位)

◆進学ブランド力調査2017「大学のイメージ:おしゃれな」
関東エリア 1位 青山学院大学(昨年1位)
東海エリア 1位 青山学院大学(昨年1位)
関西エリア 1位 同志社大学(昨年3位)

《冨岡晶》

冨岡晶

フリーの編集者/ライター/リサーチャー。芸能からセキュリティまで幅広く担当。

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