◆広尾学園中学校・高等学校の教育改革への取組みについて、具体的な事例をまじえて紹介するセミナーが2018年2月22日に開催される予定。詳細はこちら。
生き残りをかけた共学化と進学校化
--共学化には、さまざまな戸惑いや抵抗なご苦労があったのではないでしょうか。
「人が集まらない」が原点の学校改革
確かに、男子を受け入れることには抵抗がありました。まだ女子校としてやっていけるのではないかという意見もありましたが、このままでは学校が消滅してしまう危機がやってくる。ならば、勇気をもって生まれ変わるしかない、それしか生き残る道はないと、共学化へと踏み切り、校名も変えました。
しかし、共学化することで一時的には話題になってもその後も評価され続けなければ意味がありません。なにしろ「人が集まらない」が原点ですから、生き残った後でも伸び続けるために、さまざまな改革を続けています。改革はだいたい3期に分けることができると思います。
--共学化の2007年からが第1期になりますか。
共学化し「進学校化」に重点
2007年から2010年くらいまでが第1期で、「進学校化」に重点をおいた時期です。全国の進学校の情報を集め、やれることは何でもやりました。たとえば、特進クラスの設置や入試問題を学校内の定期試験に入れていくなどです。勉強したい生徒は午後9時まで残って学習できる「9時学」などということをやっていた時期です。
将来を見据えた本格的な教育
--2011年には「医進・サイエンスコース」を設置されていますね。
医系・理系大学を目指すコース設置
2010年頃から「進学実績をあげるだけでいいのか、本格的な教育を行いたい」という声が若手から上がりはじめ、それで2011年に新設されたのが「医進・サイエンスコース」です。国内外の医系・理系大学を目指すこのコースでは、高校段階から本格的な研究活動を行います。
グローバル化を見据えたコース設置
前後しますが、2010年には中学インターナショナルクラスに、帰国子女のようなもともと英語力のある「アドバンスドグループ(Advanced Group)」と入学時の英語力は問わない「スタンダードグループ(Standard Group)」を設けました。グローバル化していく社会を見据えた設置です。
実は2009年から第2期の先駆けとして、思い切ったキャリア教育プログラムを始めていましたが、第2期としての本格改革は2010年、2011年頃から始まり、2015年頃までと考えています。このころから、さらに受験生が増えてきました。社会的ニーズに合っていたのではないかと思います。
世界のトップ校に並ぶ
--現在は第3期ですね、今後の改革への注目も高まっています。
すべての教育活動をハイレベルに
第3期は2016年からといえると思います。「医進・サイエンスコース」や「インターナショナルコース」では優れた成果をあげることができましたが、特定のコースだけでなく、「すべての教育活動をハイレベルに」していくことを目指しています。世界には伝統的なトップ校があると思いますが、今、次の時代を見据えて時代にふさわしい学校を創造しようという動きもあります。そういった世界の先進校と並んでいこうというのが第3期です。
悩みながら改革に取り組んできて、振り返ってみると、だいたいすべて結果につながってきました。受験生が集まるというのは、社会的な評価が得られているからだと思いますが、そうした評価につながる中身を今後も作り続けたいと思っています。
広尾学園というとICT活用先進校のイメージも強いが、今回は生き残りをかけて臨んだ、学校改革のあらましを聞くことができた。インタビュー中、「これから入学してくる生徒の未来に何が必要なのかを最優先すべき」と金子氏は語っていた。この視点があるからこそ、さまざまな改革案が生まれ、それが成果につながり、この学校に入りたいという人気も高まり続けているのだろう。
◆広尾学園中学校・高等学校の教育改革への取組みについて、具体的な事例をまじえて紹介するセミナーが2018年2月22日に開催される予定。詳細はこちら。

インタビューに答える金子副校長