法科大学院、早期卒業・飛び入学で修学を1年短縮…文科省が方針案

 文部科学省の法科大学院等特別委員会は平成30年2月5日、早期卒業・飛び入学により、法科大学院修了までを現行より1年短い5年で可能とする基本方針案を公表した。法科大学院との連携で法学部に「法曹コース(仮称)」を設置し、体系的・一貫的な教育課程を編成する。

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法曹コース(仮称)から法科大学院への進学(イメージ案)
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 文部科学省の法科大学院等特別委員会は平成30年2月5日、早期卒業・飛び入学により、法科大学院修了までを現行より1年短い5年で可能とする基本方針案を公表した。法科大学院との連携で法学部に「法曹コース(仮称)」を設置し、体系的・一貫的な教育課程を編成する。

 「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性(案)」では、法学部に「法曹コース(仮称)」の設置を奨励し、法科大学院と連携して学部段階から体系的・一貫的な教育課程を編成することを提言している。

 法曹資格取得までに要する時間的・経済的負担を軽減するため、学部4年間と法科大学院2年間という従来の学修期間に加え、優れた資質や能力を有する学生が早期に法科大学院に進学できる仕組みを明確化。早期卒業・飛び入学の利用により、学部3年間と法科大学院2年間の計5年間の学修で法曹となる仕組みを充実・確立すべきとしている。

 なお、一部ではすでに早期卒業や飛び入学を経た法科大学院入学が始まっており、平成29年度は47人が早期卒業・飛び入学制度を活用して法科大学院の法学既修者コースに入学している。これまで早期卒業・飛び入学制度で法学既修者コースに入学した学生は、修了後1年目の司法試験合格率が約57%と、既修者平均より10%以上高く、新たな仕組みでも同水準の維持・向上が期待されている。

 法科大学院との連携による法学部への法曹コース設置も進められている。「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」で採択された平成30年度の取組みでは、法曹コース設置は19大学に達し、今後大幅に増加することも見込まれるという。

 このほか、法科大学院入学者に占める法学系課程以外出身者または実務経験者の割合を「3割以上」と定めた文部科学省告示については「見直すのが適当」と明記。法学未修者コースは、さまざまなバックグラウンドを有する質の高い法曹を生み出してきた一方、3年間で修了できるのは半数程度、修了1年目の司法試験合格率は2割を切っている。

 法学既修者コースと比べて司法試験合格状況が振るわず、入学者減も続いていることから、「現在の状況では一定割合以上を入学させることについて努力義務を課すのは、入学者の質の確保の観点から適当でない」と判断した。共通到達度確認試験など進級にあたり質保証プロセスを導入し、法学未修者コースの質の保証を制度化する必要性にも触れている。

《奥山直美》

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