文部科学省は2025年5月23日、2025年度(令和7年度)から制度を拡充して実施する、多子世帯学生の大学授業料・入学金の無償化について、各大学設置者に受付申請期間を6月末まで延長するよう要請した。対象拡大を知らなかった、すでに受付が締め切られていたといった相談が同省に相次いだことから、改めて申請対応の延長を求めた。あわせて、対象となる学生が申請漏れすることのないよう、周知徹底も求めている。
「高等教育の修学支援新制度」は、家庭の経済状況に関わらず、大学等へ進学できるチャンスを確保できるよう、2020年4月から実施している支援制度。2024年度からは、多子世帯(扶養する子供が3人以上いる世帯)や私立の理工農系学部等に通う学生などの中間層への支援を拡大。さらに2025年度より、多子世帯の学生については所得制限を設けず、授業料・入学金を減免することを決定。国公立大学では原則無償化になるとして、各大学で申請受付を進めてきた。
申請を受け付ける日本学生支援機構(JASSO)では、段階的にまだ申請を受け付けているが、大学によってはすでに一括で申請を締め切ったところもあり、「申請ができない」などといった相談が文科省へ多く寄せられているという。こうした事態を受け、これまでも各大学に申請期間の延長を求めてきたが、改めて6月末までの間、学生からの申請を受け付けるよう通知を発出した。
各大学においては、各校が設けた申請期間を過ぎた後でも、6月30日までは申請を受け付けるよう対応を求めている。また、7月以降に学生が制度内容や申請期間を正しく理解していなかったといったことがないよう、制度周知を図るとともに、6月30日までに必ず「スカラネット」への入力を含めた申請手続きを指導するよう呼びかけている。
さらに、大学側からJASSOへの推薦手続きの最終期限も8月25日まで延長。学校側の事務処理時間も確保する措置をとっている。文部科学省では、教育費の負担を軽減する必要がある学生をもれなく支援する、という制度の趣旨を踏まえ、申請機会を可能な限り確保することが必要として、大学側に協力を求めている。