「子どもがなかなか集中して勉強しない」その時親はどうする?

 子どもの学力を上げる方法に限らず、より広い「子育てのヒント」を名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ 西村 則康氏が伝授。名門難関中学に2,500人以上を合格させてきたカリスマ家庭教師の最強の子育てのノウハウ、理系脳を育む秘訣とは。

教育・受験 未就学児
子どもに集中力をつけさせる親子のおしゃべり
子どもに集中力をつけさせる親子のおしゃべり 全 2 枚 拡大写真
 子どもの学力を上げる方法に限らず、より広い「子育てのヒント」を名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ 西村 則康氏が伝授。名門難関中学に2,500人以上を合格させてきたカリスマ家庭教師の最強の子育てのノウハウ、理系脳を育む秘訣とは。

お母さんが我が子の情報収集をして状況を把握



 「子どもがなかなか集中して勉強しないのですが、どうすればいいですか」

 お母さん方からこんな質問を受けることがよくあります。それを解決するためには、まずはお母さん自身が、子どもが集中して勉強する時としない時に、どのような差があるかという情報を集めてみましょう。そしてその原因を、「気持ちの面」と「内容の面」で切り分けて考えてみることです。

 子どもが集中して勉強していた時を見計らって、こう質問してみます。
「今日はすごくがんばったみたいね。どうしてこんなにできたのかな?」

 さらに集中できていない時には、
「宿題ができていないみたいね。何か困ったことがあった?」

 こうやって質問を重ねることによって、子どもの具体的な理由や状況がわかってきます。

 たとえば、教科によって集中する、しないという状況が起きているのだとすれば、お母さんが外出している時は、得意教科をやるように導いていきます。計算練習や漢字など繰り返し、定期的にやらなければならない勉強もおすすめです。

 反対に、苦手な教科や難しい問題に取り組む時には、お母さんが横についていられるようにするのです。

 もし集中できるかどうかが曜日によるのであれば、集中できない曜日は得意科目、集中できる曜日は苦手科目をやるようにします。そうやって学習の仕方を、1週間単位で管理していきます。

 さらに、状況を把握するためにこんな質問をするのもいいでしょう。

「〇〇ちゃんが一人でできることは何かを教えてくれる?」
「どんな勉強を手伝ってほしい?」

 この質問のメリットは、お母さんが子どもの様子を理解できるだけでなく、親の問いかけに子どもが答えることにより、子ども自身も自分の勉強を客観的に見られることです。

子どもを激しく責めたてるのは百害あって一利なし



 それからもう一つ、勉強に集中させたいからといって叱咤したり怒鳴りつけたりするのは、まったく効果がないと覚えておいてください。

 時に塾では、ほかの子どもへの見せしめという一種のスケープゴートとして、一人の子どもを激しく叱ることがあります。

「なぜ、前にやったことができないんだ!」
「なぜ、宿題をやっていないんだ!」

 そう言われた子どもは、うなだれるしかありませんし、まわりの子どもたちも委縮してしまいます。

 それはむしろ、講師自身の力量不足ととらえるべきだと私は思います。子どもの頭に記憶させられなかったことや、宿題をやらせることができなかったことを反省したりするべきでしょう。

 私はこれまでに、塾の先生が怖くて塾に行けなくなってしまった子どもを何人も見てきました。その多くは、クラスメートが激しく叱られているのを見て怖くなったことが原因でした。

 また、塾に行けなくなることはなかったけれど、「わかったふり」や「宿題をやったふり」をするために人の解答を写すなどする、といった例もたくさんありました。

 でもこれは、塾の先生だけでなく、お母さんにも気をつけていただきたいことなのです。

「なぜこんなことがわからないの!?」
「なぜこんなミスをするの!?」
「なぜ勉強に集中できないの!?」
という、お母さんの怒気を含んだセリフは、子どもを委縮させます。

 お母さんが子どもを叱るセリフは、多くの場合“ダブルバインド(二重拘束)”になっていることがあります。ダブルバインドとは、ああ言えば叱られ、だからといってこう答えても叱られる。子どもにとって、出口のない詰問です。

 「なぜこんなことがわからないの!?」と聞かれて、「よく聞いてなかったから」と答えれば、さらに叱られることは当然予想できます。だからといって、「難しいから」と答えれば、お母さんからはまた別の悪口雑言が飛び出してくることも予想できます。

 このような場合、子どもは口をつぐむしかないのです。

 こういうことを繰り返していると、子どもはひそかに反抗心を溜めるようになります。そして子どもによっては、自分が鈍感になることでそういった状況をやりすごそうとするようになり、また、お母さんの話には無反応を装うことを学習してしまうのです。

 子どもに何度言っても勉強へのやる気が見えない時は、一度、お母さんのセリフを見直されることが必要かもしれません。

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方(西村 則康 著/アスコム)より「最強頭脳のベースをつくる23の法則」

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方

<著者プロフィール:西村 則康(にしむら のりやす)>

名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ.。30年以上、難関中学・高校受験指導を一筋に行う家庭教師のプロフェッショナル。一つの解法を押しつけるのでなく、その子に合った方法を瞬時に提示する授業で毎年多数の生徒を最難関中学の合格に導く。これまでに男子御三家の開成、麻布、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉をはじめ、灘、洛南高附属、東大寺学園、神戸女学院などの難関校に合格させた生徒は2,500人以上にものぼる。受験学習を、暗記や単なる作業だけのものにせず、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込んでいく「名門指導会」の授業は、いずれの講師も翌年まで予約が殺到するほどの人気を誇る。また、授業を通して親子の絆を深めてほしいと、父母と子どものコミュニケーション術や声かけ法についてもアドバイスしている。家庭教育雑誌や新聞などに頻繁に登場し、情報発信も積極的に行う。特に16万人のお母さんが参考にしている中学受験No.1サイト「かしこい塾の使い方」では、保護者の質問一つずつに丁寧に答えることをライフワークとしている。

《リセマム》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集