【NEE2018】現場の悩みを解消、特別支援教育を支える設備

 2018年6月7日から9日まで、東京ファッションタウンビルで開催される「New Education Expo 2018(NEE2018)」。会場では多数のセミナーが行われているほか、子どもの学びや成長を支える最先端の教育ICTや教材が展示されている。特別支援教育に向けた教具を取材した。

教育・受験 小学生
内田洋行「ホワイトボード付収納ワゴン」(写真右)の利用イメージ
内田洋行「ホワイトボード付収納ワゴン」(写真右)の利用イメージ 全 8 枚 拡大写真
 2018年6月7日から9日まで、東京ファッションタウンビルで開催される「New Education Expo 2018(NEE2018)」。会場では多数のセミナーが行われているほか、子どもの学びや成長を支える最先端の教育ICTや教材が展示されている。

 展示テーマは「ICT&ネットワーク/セキュリティ」「教材・教具&理化学機器」「教育ソフトウェア&コンテンツ/語学学習」「ハードウェア&学校設備」の4つ。そのうち、「教材・教具&理化学機器」展示の一角では特別支援教育教材が展示されていた。

 発達に困難を抱える子どもの教育環境整備に向け、内田洋行は「ホワイトボード付収納ワゴン」を発売した。

内田洋行「ホワイトボード付収納ワゴン」
画像:内田洋行「ホワイトボード付収納ワゴン」
 通級指導教室における特別支援教育は通常、教師と児童の1対1で行われるため、教室に整備された黒板を利用した学習は適さない傾向にある。そこで、内田洋行は個人ごとに利用できるホワイトボード機能と、個別学習空間を実現するパーティションの役割を持ち、収納機能も備えた1台3役のマルチワゴンを開発。それぞれ別に揃えると空間を圧迫してしまうところ、限られたスペースを広く利用でき、キャスター付きのため柔軟にレイアウトを変えることができる点が特長だ。同じ教室内で隣の子どもが気になる児童生徒でも、間仕切りがあれば学習に集中できる環境が整う。

 子どもの集中を妨げないように、との工夫から生まれた製品は「学習支援天板 机の上にぴったり君」。

内田洋行「学習支援天板 机の上にぴったり君」。今ある机の上に乗せ、ネジで止めるだけで利用できる。分類学習に最適。
画像:内田洋行「学習支援天板 机の上にぴったり君」

 机の上に乗せて取り付ければ、簡単に囲い縁の付いた学習スペースを整備できる。天板はホワイトボードのため、マグネット棒やマーカーを用いた学習も容易に実現可能。色や形、お金などの分類学習に適している。

 内田洋行 営業本部 営業統括グループの細川妃沙未氏は、「障がいがある子もない子も、集中すればするほど、物を落としやすい」と語る。実はこの製品、「集中すれば物を落とし、物を落とすと集中力が途切れる。落とさないようにするのではなく、子どもが物を落とさなくてもすむようにしたい」という、現場の思いが製品化につながったものだそうだ。たしかに、机に座ってみると、囲い縁があることでペンや磁石などを落としづらい。新旧いずれのJIS規格にも対応しており、価格は一般に養護机として特別支援教育用に流通しているものを下回るよう配慮した。60センチ×40センチ机用で29,000円(税別)、65センチ×45センチ机用で34,000円(税別)。

 現場の声、という点で見ると、海外ではすでに扱われていたところ、日本でも扱ってほしい、という意見がきっかけで新しく取り扱うようになった製品もある。「ボブルス イモムシ」だ。

内田洋行が扱う輸入教具「ボブルス イモムシ」。じっと座っているのが心地悪い子どもに適度な揺れ(刺激)を与える
画像:内田洋行が扱う輸入教具「ボブルス イモムシ」

 座ってみると、ゆらゆら揺れるのに倒れないという、絶妙な揺れ。底面が球面なので、座ると適度にスイングする。EVA素材を採用しており、しっかりとした一面を持ちながらぶつかっても痛くないという、適度な硬さが実現されている点は子ども思いの一面だろう。

 ブース内では、じっとしているのが苦手な子どもだけでなく、時間という概念を把握しづらい子どもに向けた「めもりタイマー」の提案も見られた。

内田洋行「めもりタイマー」。価格は税込みで9,288円と、1万円以下におさえた
画像:内田洋行「めもりタイマー」

 「あと何分何秒」「この時間までにやってね」という残り時間への理解を深め、活動の見通しを持ちやすくできるよう、時間を可視化する「めもりバー」を搭載した製品だ。時間が経つにつれ、めもりバーが減り、あとどのくらいの時間が残っているのかが一目瞭然。最大120分までのタイマーに対応する。

 2016年4月に施行された「障害者差別解消法」。これにともない、学校における合理的配慮が義務化され、私立学校においては努力義務が示された。「合理的配慮」と聞くと堅苦しく感じるが、大切なのは児童生徒が気持ちよく、集中できる環境を整えてあげること。教具の一斉入替えや多量の追加購入は予算の都合上、現実的でないことから、まずは「今教室にあるものを最大限活用する」という方針で学習環境の見直しを図ってみるとよいかもしれない。

 なお、内田洋行は毎年、教育現場の先生や職員を応募資格者とした「教職員発明考案品懸賞」を実施している。教育現場の「あったらいいのに」というアイデアを募集し、表彰するコンテストだ。「学習支援天板 机の上にぴったり君」のような製品が生まれていることからも、アイデアのある者はぜひ、応募してみてはいかがだろうか。詳細は内田洋行Webサイトに掲載されている「ウチダ 教材総合カタログ」のうち、小学校版の1253ページに掲載されている。

《佐藤亜希》

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