「デジタル教科書」ガイドライン、検討会議スタート…2018年冬に案

 2018年6月8日、文部科学省で第1回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議が開催された。学校教育現場へのデジタル教科書の導入に関するガイドラインなどを作成するための検討会議。

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第1回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議のようす(2018年6月8日)
第1回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議のようす(2018年6月8日) 全 2 枚 拡大写真
 2018年6月8日、文部科学省で第1回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議が開催された。2019年4月1日から施行される学校教育法等の一部を改正する法律に伴う学校教育へのデジタル教科書の導入について、教育委員会や学校などに向けたガイドラインの作成などを行う。

 検討会議の座長は、東北大学大学院情報科学研究科教授の堀田龍也氏が務める。座長代理は放送大学教授の中川一史氏。堀田氏は第1回にあたる検討会議の開催について、会議関係者やアドバイザー、教科専門家や教科書出版に関わる者からの意見を聞きながら、紙による教科書指導のノウハウをどのように生かすのか、うまく整備できるよう検討していきたいとしている。

 検討会議で扱う「デジタル教科書」とは、教師が電子黒板などにおいて利用する教師用についてではなく、児童生徒が使用する学習者用のデジタル教科書のこと。「紙の教科書をデジタル化」した教材であり、動画や音声などの内容は定義に含まれない。

 デジタル教科書の導入については、教科書の紙面を拡大して表示したり、何度も書いたり消したりできるというデジタル表示の特長により、繰返し学習や児童生徒の理解に応じた使い方の実現が期待されている。特別支援学級や、いわゆるグレーゾーンにある子どもの学習も、デジタル教科書を利用することで学びへのアクセシビリティが向上する可能性がある。また、ARや動画といったデジタル教材との連動のほか、他のICT機器との一体的な利用も可能なことから、学習の深化や協同学習の促進といった効果も見込まれている。

 一方で、デジタル教科書についてはこれまで、児童生徒の健康面への影響や価格、その著作権について議論されてきた。紙の教科書は文部科学省から無償で提供されている一方、デジタル教科書の費用は保護者が負担する方向で議論が進んでいることから、資料集などの副教材とはどう異なるのかというように、その有用性は保護者の納得感を得る必要がある。

 ガイドラインは、学校教育現場がデジタル教科書をどのように導入し、活用するかという指針を示すものとする予定。第1回の検討会議では、教科ごとの活用例も盛り込みたいとする意見や、新学習指導要領との対応がわかりやすいよう記述すべき、などの案が見られた。ガイドラインの作成とは別に、外部調査機関による調査の実施や、実践事例集の制作も予定している。第2回検討会議でガイドライン骨子案をまとめ、2018年秋ごろに素案を作成予定。12月ごろにガイドライン案を作成し、その後ガイドライン取りまとめと公表を行う。

※追記:第1回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議は、2018年6月14日に文部科学省Webサイト上に掲載された。(2018年6月15日編集部)

《佐藤亜希》

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