「大きな危機感」大学再編や統合、法改正…経団連が改革提言
日本経済団体連合会は2018年6月19日、「今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言」をWebサイトに公表した。大学の教育・研究力を高めるため、大学間の連携や再編・統合を進める必要性を強調し、制度の改正や見直しなどを提言している。
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提言では、赤字や定員割れに陥っている大学が見受けられ、日本のトップ大学でも直近の世界大学ランキングで軒並み評価を下げている現状を「大きな危機感を抱かざるを得ない」と指摘。人口減少社会・労働力不足を乗り越える観点から、「これまでの護送船団方式の大学行政を改め、大学の教育・研究力を高めるために必要な改革にスピード感を持って取り組むことが求められる」と述べている。
具体的には、大学の教育・研究の質を向上させるため、大学の再編・統合の必要性を強調。18歳人口がピーク時の205万人から2040年には88万人に減少する見込みである一方、大学数は微増、国立大学の定員数もほぼ横ばいで、私立大学の4割が定員割れを起こしている現状を解説したうえで、2017年時点で国立86校、公立89校、私立604校という大学の数や規模の適正化が不可避だとした。
さらに機動力とスピード感ある大学改革を実現するため、内閣に省庁横断的な会議体を設置し、大学の再編・統合に関するグランド・デザインを策定するよう提言。経営悪化傾向にある私立大学の合併や早期撤退を促す仕組みを構築し、私立大学の学部・学科単位での合併・譲渡を容認するよう求めている。
1つの国立大学法人が複数の大学を運営できるよう法改正すること、地域の国公私立大学をグループ化して一体的な運営で経営基盤を強化すること、国内外の複数の大学で教員を共有することなどについても提言。国立大学の運営費交付金は機能分化をさらに推進、私立大学に対する補助金は競争的に配分すべきとした。
このほか、大学入試については、主体的に考え自ら解を導き出す能力を問う入試に改革し、文系・理系の枠を越えた幅広い知識と教養を身に付けた人材を育成するため、文理の区分の廃止も検討すべきとしている。
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