ここでは、家庭ですぐに取り組める微生物の培養実験「寒天培地で微生物を育てる」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。
自由研究:中学生向け 小学生向け
身近なところに存在している微生物を見る~寒天培地で微生物を育てよう~
第2分野【生物】観察
制作時間:1時間 難易度:★★★
肉眼では見えない微生物。その存在を意識することはまれですが、わたしたちの生活と深くかかわっています。そこで、寒天培地で育てて、微生物の存在を実感してみましょう。
用意するもの
納豆 ブルーチーズ ヨーグルト 寒天 ドライイースト 片栗粉 うがい薬(ヨウ素入りのもの) フタつきの容器 計量カップ
そのほかのもの 水、つまようじ、かき混ぜ棒
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実験 やってみよう 食品中の微生物によるデンプンの分解を調べる
★手順 全5工程
納豆やチーズ、ヨーグルトなどの食品には、微生物が含まれています。これらの微生物が、デンプンを分解しながら増えるようすを調べてみましょう。
寒天培地に含まれるデンプンが分解されるようすは、ヨウ素デンプン反応からわかります。
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500mLの水に、寒天5g、片栗粉2.5gを加えて作った溶液を弱火で加熱する。焦がさないように注意して、溶液が透明になるまでかき混ぜる。
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1で作った溶液を厚さ1~2cmを目安に各容器に注ぐ。その後、室温で自然に固まるまで放置する。溶液が固まったら、1時間ほど容器を逆さにし、余分な水分を取りのぞく。
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つまようじの先にヨーグルトを少しつけ、寒天培地の中央に軽くこすりつける。同様に、納豆、ブルーチーズ、ドライイースト(粉末をお湯に溶かす)でも行う。
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3のあと、容器にフタをし、ラベルをはる。あまりゆらさないようにして、30~37度の室温で1~2日、それ以下の室温で3~5日培養する。
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うがい薬の原液を水で10倍ほどに薄めた溶液を作る。その溶液を寒天培地の表面全体がひたる程度に注ぎ、寒天培地の表面がどのように変色したかを確認する。
なぜそうなるの? ~発酵食品に含まれる微生物は生きている~
デンプンを分解しながら増殖する微生物
実験により発酵食品には微生物が含まれていること、それらの微生物は寒天培地で増やせることがわかりました。また、育てる温度環境や栄養分などの条件によって、増えやすい微生物はちがってきます。
●微生物の分類
原核生物 細菌類……納豆菌、乳酸菌
真核生物 菌類………カビ、酵母、キノコ
原生生物…ゾウリムシ、アメーバ
レポートのまとめかた
実験で使った食品以外からも微生物を育ててみましょう。本やインターネットで微生物を含む食品を調べてから、スーパーなどで探してみましょう。
微生物を育てる環境(温度や湿度)を変えて実験し、その結果を表にまとめてみましょう。
発行:永岡書店
<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。