育児ネタは言わぬが花…
他愛もない世間話であっても、複雑な心境になる人がいるかもしれません。世の中には、子どもがほしいのに授からなかった人もいるもの。「子どもの話題」というだけで、疎外感を与えてしまうこともあり得ます。
これは私自身の話になりますが、ある取引先の人に帰省の時期を聞かれたときのこと。帰省予定の日付けを答えたあと、
「子連れで新幹線に2時間半も乗るのは、大変です」
と、うっかり口をすべらせてしまったことがあります。相手の方は、私が「子持ち」であることをご存じの女性でした。
「いいですね。私には子どもがいないので、まったくわからないことです……」
そう返され、反省しました。
育児に関しては、何ごとも「言わぬが花」なのです。反対に、私が「ワーママである」と知っている人の中には、気遣って、育児の様子を聞いてくれる方もいます。何人かと話すうちに気付いたのですが、わが子の成長ぶりなどを説明しても、相手にとってはさして面白くもなく、「何のメリットもない」ということ。それよりも相手が本当に聞きたいのは、子育てをして初めて見えてくる「社会問題」です。
わかりやすい例を挙げると、保育園の待機児童の問題。例え子どもがいなくても、興味を持っている方は多いものです。「保育園に入るのにどれだけ苦労するものなのか」という話なら、少しは相手の方の参考になるかもしれません。
また、会話の流れが「育児」だけに集中してしまわないよう、ニュースや時事問題など、話のネタは広く仕入れておきたいものです。「子どもを産んで復職した途端に、世間話まで育児のことか!」という印象を相手に与えてしまうよりは、あたりさわりのない芸能ネタについて話しておくほうが、まだマシかもしれません。
子ども同伴OK、ワーママに優しい会社
最後に、よい意味で「特殊」な企業についての話をしましょう。世の中には、まだまだ少ないですが「ワーママに優しい企業」も存在します。例えば、授乳服専門ブランド「モーハウス」は、ほとんどが子育て女性による運営で有名です。子連れ出勤や在宅勤務スタッフという働き方もあるそうです。また、私はフリーランスですが、打ち合わせに「子ども同伴」を歓迎してくださった出版社が二つほどあります。このときは長女が0歳児で、まだ保育園に預ける前だったため、ベビーシッター代もかからず、大変ありがたかったことを覚えています。
あと10年もすれば、子ども同伴でのワークスタイルが、より一般的なものになっているかもしれません。
「2人目を産んだら、そんな企業を探して転職しようかしら。私が起業しようかしら」
このように、楽しい空想をめぐらせることもできますね。とりあえずは、今のあなたの職場の「空気」を上手に読んで、うまく泳ぎ切ってみてください。
発行:WAVE出版
<著者プロフィール:山守 麻衣(やまもり まい)>
1976年生まれ、早稲田大学卒。中高年の生きかた・暮らしかた応援雑誌『いきいき』の編集者を経て、フリーの編集者・ライターに。現在2児の母。母乳育児をしつつ、環境雑誌から社会派ビジネス誌、医療系の書籍まで、同時に9社の仕事をこなす激務型ワーママ。