どうなる?神奈川公立【高校受験2019】本気で取り組みラストスパートで合格へ

 2019年度高校入試の追い込みの時期に入った。神奈川公立高校入試で数多くの合格者を輩出している湘南ゼミナールを訪ね、知っておくべき変更点やおさえておくべき学習法について聞いた。

教育・受験 未就学児
湘南ゼミナールの秋山清輝氏(左)と金澤浩氏(右)
湘南ゼミナールの秋山清輝氏(左)と金澤浩氏(右) 全 4 枚 拡大写真
 大学の入試改革の影響は、全国の高校受験にも及んでいる。神奈川県の公立高校もまたここ数年、入試制度はもちろん、入試の問題内容にも変化があった。そこで、2019年度高校入試の追い込みに入るこの時期に、神奈川公立高校入試で数多くの合格者を輩出している湘南ゼミナールを訪ね、知っておくべき変更点やおさえておくべき学習法について、教務支援部部長で共育・進路コーチの金澤浩氏、教務支援部進路情報戦略室長の秋山清輝氏に聞いた。

高校ごとの特徴が出やすい入試制度



--神奈川県公立高校入試の特徴を教えてください。

金澤氏:神奈川県公立の特徴の1つは、「全校で必ず面接が取り入れられている」ということです。筆記試験がない学校も一部ではありますが、ほぼすべての学校は、内申と筆記試験と面接の3つで評価されます。それぞれをどの程度重要視するかという比重は、1,000点満点中200~600点という幅のなかであれば、学校側で自由に決められます。内申200点、当日の試験600点というようにすることもできますし、逆の配分も可能です。高校側がどういうお子さんに入学してほしいかによって、学校ごとに評価基準を決められる仕組みになっています。

 また、全国的に見ても珍しい「特色検査」という試験があります。英数国理社の科目別とは異なり、純粋な知識を知っているかどうかだけではなく、問題解決につなげることができるかとか、散らばっている情報を集めてまとめられる能力があるかなど、学力とは違う基準として試験を行うことができる制度です。高校ごとに実施するかどうかを個別に決めることができますが、現状はトップ校を中心に実施されています。

湘南ゼミナール 教務支援部部長で共育・進路コーチの金澤浩氏
湘南ゼミナール 教務支援部部長で共育・進路コーチの金澤浩氏

--学校によって特徴が出やすい入試制度ですね。

金澤氏:従来では、公立であればどこの高校も変わらないというイメージがありましたが、入試制度が変わってきて、どの学校を選ぶのかが大切になってきています。

秋山氏:神奈川県には学区がなく、選べる学校が多いというのも特徴の1つですね。

難しくなった社会科問題の対策を



--2019年度入試で、特に意識しておくべき点がありましたら教えてください。

金澤氏:注目点としては2つあります。1つは、2018年度筆記試験の社会の難易度が上がり、全国的に見ても一番低かったのではないかというほど平均点が下がったことです。なぜ低かったかというと、中学校の定期テストではあまり出ないような、知識を組み合わせる、関連付けて考えさせるといった作り込まれた問題が出されたからです。こうした問題には、昨年度の入試の過去問題やそれに準じた難しい問題集などで、事前に学習しておかなければ得点できないと思います。

 もう1つは、特色検査に共通問題を採用する高校がある点です。これまでは各学校でオリジナルの問題を作っていました。しかし2019年度からは、各学校とも同じ問題となる「共通問題」と、それぞれに異なる「共通選択問題」の2つになります。2019年度は、神奈川の学力向上進学重点校17校(エントリー含む)のうち7校が共通問題を採用しますが、2020年度からは17校すべてが採用する予定です。

--難しくなった社会科の問題には、どのようなものがありましたか。

金澤氏:従来の問題では、古いものから順番に並び替えるといった年号さえ覚えていれば解ける問題が出されていました。ところが2018年度は、「5、6個の選択肢と年表が示され、年表中にある期間中に起きた出来事を選択した上で、その中の古いものから3番目のものを求める」といった問題でした。作業が2段階に分かれるわけです。また時差の問題では、「Aさん、Bさん、Cさんが同時に国際インターネット会議をしているが、参加者の感想を読んで誰がどの都市に住んでいるか選びなさい」という、活用を前提にした問われ方になっていました。勉強法を変えていかないといけない問題です。

秋山氏:ベトナムの位置と社会主義なのか、資本主義なのかといった問題も出ていました。中1世界地理の知識と、中3歴史のしっかりとした知識を両方合わせないとわからない難問ですね。

横浜翠嵐と湘南の異なるスタンス



--横浜翠嵐のみ、当日の筆記試験の比率が高くなっていますが、湘南など他の人気学校との違いはどういったことでしょうか。

金澤氏:横浜翠嵐の内申、筆記試験、面接の比率が2:6:2なのは、学力重視の表れでしょう。横浜翠嵐と湘南はトップ校として一括りにされることがありますが、スタンスが決定的に異なっています。入学時のレベルは近いですが、横浜翠嵐は「高校生は勉強を最優先し、残された時間に、効果的に行事や部活に取り組もう」という考え方です。湘南は「もちろん勉強も大事だけれど、行事も部活も同じように大切。三兎を追う者すべてを得る」というスタンスなので、内申も見たいという考えが入試にも出ています。横浜翠嵐と湘南のどちらがいいかはお子さんによります。高校生活や将来の大学受験のことも見据えて、高校を選んでほしいですね。

横浜国際IBの今後に注目



--横浜国際で2019年度より、神奈川公立初の国際バカロレア(IB)コース(*1)がスタートしますが、注目度はいかがでしょうか。

*1:IBは国際バカロレア(International Baccalaureate)の略称。ジュネーブに本部がある国際バカロレア機構が提供している国際的な教育プログラムで、国際的な視野をもった人材育成を目指し、世界140以上の国・地域、4,846校において実施されている(平成29年6月1日現在)。

金澤氏:国際バカロレアに興味、関心をもっている方を中心に、説明会にも人が集まっています。ただ現在までのところ、志願者が大幅に増えているという感じはしていません。

--横浜国際のIB志願者はどういった学校を併願されるのでしょうか。

秋山氏:公立や私立併願のパターンは、国際系でまとめていらっしゃる方が多く、それ以外の方は進学校を併願されている方が多いです。たとえば、公立第1志望が横浜国際のIB、公立第2志望が横浜国際の本体、公立第3志望は川崎市立橘のような志願パターンです。私立併願も、法政国際IBや横浜隼人国際などの国際系、平塚学園や桐蔭学園などの進学校を選択されるパターンが多いです。IBと国際系は必ずしもイコールではないのですが、IBで志望校をかためていくところまでは、まだいろいろと浸透していないのでしょうね。

2019年度も人気は国際系



--2019年度、特に注目が高まっている学校があれば教えてください。

秋山氏:公立で人が集まっているのはやはり国際系で、横浜国際、神奈川総合の国際コース、横浜商業の国際、川崎市立橘の国際などは倍率が高めです。また学区がなくなってから2極化が進んでいて、トップレベルの高校は人気が高く、中堅レベルの高校は概ね倍率の低い状態が続いています。

湘南ゼミナール 教務支援部進路情報戦略室長の秋山清輝氏
湘南ゼミナール 教務支援部進路情報戦略室長の秋山清輝氏

--私立についてもご紹介ください。

金澤氏:大きかったのは桐蔭学園ですね。昨年共学化して、理数・普通コースからプログレス・アドバンス・スタンダードの3コースに編成を変えました。これが結果的にすごくうまくいき、ものすごく人が集まり、今年度の併願の基準も上がりました。今年も同じように志願者が集まるかに注目しています。またこの桐蔭学園の影響からか、桜美林、麻布大学附属なども最上位コースを作っています。

 また、私立高校での大きなトピックの1つに、高木学園女子が英理女子学院高等学校に学校名を変えることがあります。以前は商業科・情報科・家庭科と分かれているのが特徴の高校でしたが、まさに名称どおり英語と理数系に力を入れていくため、新たにiグローバル部というコースを作っています。神奈川には見られなかった本格的なグローバル教育を実践する高校が、交通の便のよい菊名にできるとあって、今後、注目度も高まると思います。

出願前に必ず高校見学を



--併願校の選び方を、難関校志願者・中堅校志願者別にアドバイスください。

金澤氏:公立の難関校はどこも倍率が高いので、うまくいかずに私立併願校に通うことになる可能性も高くなります。公立だけでなく私立校にも出願前に自分自身で足を運んで、その学校だったら自分が通う姿が描けるかどうか、自分の目で確かめてほしいですね。私立は学校によって得意分野、施設など個々に特徴がありますから、やはり真剣に見学に行ってほしいです。

秋山氏:私立は公立より先に決めなくてはいけないので、遅くとも11月末までには学校見学や説明会参加を済ませておくことをお勧めします。また、優秀な生徒さんは特待生制度を使える学校も多いですから、そうした条件も調べてみてください。

現中3の皆さんへ--本気で取り組めば2か月で伸びる



--2019年度受験生に、入試本番までの学習についてアドバイスをお願いします。

金澤氏:これからは、3年間の勉強の中で「どこに課題があるかを見つけて、克服していく時期」です。そこで、まだ模擬試験を受けていない場合はすぐにでも受けてください。どの学年のどの分野がわかっていないのかを見つけ、その学年の教科書をもう一度読み直すとか、参考書でその分野だけを解いて理解していく、という作業を繰り返すことがこの時期の勉強法です。模擬試験での得点結果がたとえ良くなくても一喜一憂せず、模擬試験での確認と課題を克服するための勉強を積み重ねることで、学力は上がります。

秋山氏:本気で勉強を始めて模擬試験で結果が出るまでには1、2か月かかります。逆に言えば、やっと部活を引退したという子たちも、本気でやっていれば1月で伸びる時期がきますから公立出願に間に合います。諦めずに頑張って欲しいです。

現中2の皆さんへ--定期テストで高得点を目指せ



--2020年度受験生(現中2)に、志願校選択や学習のアドバイスをお願いします。

金澤氏:学習面では、今やっていることでわからない箇所は放っておかないことが第一です。学校でやっている定期テストで高得点がとれるよう、わからないことを着実に理解していってください。

 志望校については、受かる、受からないを、現在の時点では考えないでほしいですね。それよりも、自分はどういう高校に行きたいのか、どのような高校生活を送りたいのかを描いてみてください。3年生になって実際に志望校を選ぶときのきっかけになります。

自分から勉強が楽しいと思って学んでほしい



--湘南ゼミナールの特長についてお話ください。

金澤氏:湘南ゼミナールには、「自分から勉強が楽しいと思って学んでほしい」という想いが根底にあります。その方法の1つとして「QE授業」を行っています。

 QE授業は、テキストに並んだ問題を順番に解いていくのではなく、講師が生徒のようすを見ながら理解度に応じて次の問題を考え、より力が伸びる発問をする、というスタイルの授業です。講師が発問し、わかるかどうかを生徒に挙手してもらい、その割合によってまた異なる発問を繰り返します。発問内容は、子どもたちが常にチャレンジできるよう、ちょっと背伸びをした難易度の問題を出しています。また、挨拶、言葉使い、姿勢など、ポジティブに取り組めるための空間作りにもこだわっています。

秋山氏:たとえば横浜国際IBコースの特色検査作問例では、150語程度の英文で記述して答える問題が例示されています。QE授業の英語は、講師が日本語で発問した文を生徒が英作文で解答するというスタイルです。それを毎回の授業で何十問もこなし、3年間ずっと行いますから、英語での表現力・記述力は相当高いレベルで身に付きます。国語や数学でも同様です。長い記述が多いほど湘ゼミ生は強みを発揮します。

金澤氏:また、子どもたち自身が書くスケジュール表「デイリースケジュール」を用いているのも特徴の1つです。1週間単位、1日単位で目標やどのように達成していくかを書き込み、自身で振りかえって次のスケジュールを立てていくためのツールです。塾のない日でも自ら勉強できるようにすることが塾の仕事だと思っているからです。高校や大学に行っても、自分で勉強できる習慣を身に付けてほしいですね。

インタビューに答える秋山清輝氏(左)と金澤浩氏(右)
インタビューに答える秋山清輝氏(左)と金澤浩氏(右)

--ありがとうございました。

 公立も私立も、入試制度だけでなく「学校教育の目指すもの」という根底からの変革がなされてきていると実感した。そのため、高校によってさまざまな特徴が生まれているように思う。お子さんの素養や希望に沿えるよう、確かな情報を集め、受験を勝ち取ってほしい。

冬期講習



 湘南ゼミナールでは小中部の冬期講習を受け付けている。また、湘南ゼミナールが初めての児童生徒は無料で受講できる「冬期講習無料体験」や早期申込特典を実施している。「冬期講習無料体験」は小学生は完全無料、中学生は教材・テスト費のみで受講できる。

対象:小4生~中3生
・12月授業:2018年11月27日(火)~12月22日(土)
・冬期講習:2018年12月26日(水)~2019年1月6日(日)

《渡邊淳子》

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