スコラ手帳で育む高校生のセルフマネジメント力…三郷工業技術高等学校の事例

 「スコラ手帳」を5年前から導入し、全校生徒に配布し、生活指導や進路指導に役立てている埼玉県立三郷工業技術高等学校。成果を上げている同校の実践について、教務主任・佐々木範子氏、図書館司書の志田歩唯氏、そして3年生の堀なつきさんに話を聞いた。

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左から、教務主任・佐々木範子氏、3年生の堀なつきさん、図書館司書の志田歩唯氏
左から、教務主任・佐々木範子氏、3年生の堀なつきさん、図書館司書の志田歩唯氏 全 9 枚 拡大写真

 埼玉県立三郷工業技術高等学校では、NOLTYプランナーズの「スコラ手帳(NOLTYスコラ プログラム)」を5年前から導入し、全校生徒に配布している。進路指導等に役立て、かつ、生徒のセルフマネジメント力の育成を目的にしているという。

 プログラムツールである効果測定や校内手帳甲子園の開催、手帳甲子園への参加といった取組みにおいて、形骸化を防ぐための工夫を重ね、成果を上げている同校の実践について、教務主任・佐々木範子氏、図書館司書の志田歩唯氏、そして同校3年生の堀なつきさんに話を聞いた。

スコラ手帳導入の目的は「セルフマネジメント力の育成」

--スコラ手帳を導入した経緯と目的についてお聞かせください。

佐々木先生:本校では2020年度からスコラ手帳を導入し、今年で5年目になります。導入の目的は、生徒のセルフマネジメント力を育成することでした。これは、社会人になってからも必要な能力ですので、高校生のうちから身に付けてほしいと考えました。

教務主任・佐々木範子氏

--前任の先生が異動されたと聞いています。以降の取組みについてお聞かせください。

佐々木先生:何事も、定着してくると形骸化してしまう部分がありますが、手帳についてもそれは同様だと考えました。せっかく手帳があっても「なんとなく記入しているだけ」では意味がありませんし、いずれ利用率も低下してしまうでしょう。そういった観点から、先生方と生徒の両方に改めて意識付けを行う必要性を感じ、手帳甲子園への参加などの取組みを始めました。

 手帳甲子園出場を決め、各クラスから手帳をよく活用できている生徒2名を選出しました。選ばれた生徒の中で、図書館での手帳の展示に快諾してくれた生徒のものを公開し、ほかの生徒が参考にできる機会も設けています。このような形で手帳を活用している生徒がクローズアップされることで、周囲にも良い影響が広がっていると感じています。

効果測定で見える化、教員間の意識共有にも

--効果測定※1を実施されているそうですが、結果はどのように活用されていますか。

佐々木先生:効果測定は年に2回、NOLTYプランナーズさんのサポートのもと実施し、結果を職員会議等で共有しています。自分たちの指導が成果として見えるのは教員にとっても励みになりますし、あまり活用できていないクラスの先生方にとっては刺激になると思います。

志田司書:この効果測定は、保護者への説明材料としても重要です。手帳の購入には費用がかかりますが、成果を示せれば保護者の皆さんにご納得いただくことができるからです。

図書館司書の志田歩唯氏

 ※1  効果測定とは、スコラ手帳を活用する生徒自身がどのような成長を実感しているかをデジタルアンケート形式で測定し、可視化できるサポートツールのこと

手帳で変わる生徒の「聞く姿勢」と「自己管理」

--手帳を導入してから、生徒にはどのような変化がありましたか。

佐々木先生:集会や講演会での話の聞き方、情報の受け取り方が変わったと実感しました。自然とメモを取るようになったり、ポイントを自分なりにまとめ直したりと、自発的な行動が目立つようになりました。

 本校は卒業後に就職する生徒が多いため、3年生になると面接練習を多く行います。手帳がなかったころは、予定を詰め込んだ結果ダブルブッキングが発生するケースもありましたが、手帳を活用するようになってからはそうしたトラブルがなくなりました。手帳のおかげで生徒が自己管理できるようになり、先生方の負担も軽減されたと感じています。

--手帳の使い方についてはどのような指導をされていますか。

佐々木先生:配布時にスライドを用いて、記録の仕方などの基本的な指導を行っています。NOLTYプランナーズさんからいただいたポスターも掲示し、生徒は日常的にそれを見て使い方を参考にしています。

堀さん:私は手帳の中にある「書き方のページ」を参考にしていました。小学校や中学校では手帳を使う機会がなかったので、最初はどう書けば良いのかわかりませんでしたが、「書き方のページ」がわかりやすかったので、それを見ながら自分で始めることができました。

埼玉県立三郷工業技術高等学校3年生の堀さん

3年間で大きく成長、手帳が「不安を消す」ツールに

--堀さんにお聞きします。スコラ手帳について、率直な感想を聞かせてください。

堀さん:とても便利です。予定を忘れないのはもちろんですが、書くこと自体がどんどん楽しくなりました。手帳が埋まっていくと達成感があります。逆に空白が多いと「この時期、何もしていなかったのかな」「もっとこういうことができたのでは」と、自分を振り返るきっかけにもなります。

--1年生のころと比べて、手帳の使い方は変わりましたか。

堀さん:大きく変わりました。1年生のときは、部活の日程や生徒会活動の予定を書き留める程度でした。でも3年生になった今では、面接練習の日程を担当の先生のお名前入りで書いたり、集会で聞いた話を後ろのメモページに記録したり。以前と今では中身の密度がまったく違います

左奥が高校1年生時、右奥が高校2年生時、手前が高校3年生時の手帳。年々バージョンアップしているのがわかる

佐々木先生:(手帳を見ながら)本当にすごいですね。1年生と3年生の手帳を並べると、成長が一目瞭然です。

堀さん:私はもともと計画を立てて物事を進めるのが苦手で、縛られながら生活するのがあまり好きではありませんでした。でもスコラ手帳を書くようになってから、計画的に物事を進められるようになりました。予定を逆算して考えられるようになったのは、手帳のおかげです。

--手帳を続けられている理由についてお聞かせください。

堀さん:不安を解消できるからです。私には生徒会の仕事、アルバイト、学校の行事など、さまざまな予定があります。「この日、何かあったはず」というときに、手帳を見ればすぐ確認できるので、安心感があります。同じ日に3件の面接練習を入れたときも、手帳があったからこそ時間が重ならないように調整できました。

 私は生徒会の副会長を務めているのですが、周りから「この書類の締め切りはいつだっけ」と聞かれることがよくあります。そういうときに手帳を開けばすぐに、「この書類なら○日が締め切りだよ」と答えられます。こうしたことの積み重ねが、信頼につながっているのかな、と。

「手帳を見ればすぐ予定がわかるというのは、ものすごく安心です」と堀さん

--色分けなど、工夫している点を教えてください。

堀さん:青系は自分に関係する予定、赤は試験日や大会などの特に重要なこと、緑は休みの日、という感じで色分けをしています。私は生徒会と放送部に所属しているので、それぞれの予定が混ざらないようにも気を付けています。

 実は筆箱を3つ持っていて、カラーペンがたくさん入っています(笑)。手帳は学校のカバンに常に入れておいて、何かメモする時にすぐ取り出せるようにしています。自分が見やすいように工夫すること自体が楽しいです。それも、続けられている理由のひとつかもしれません。

進路指導での活用とメリット

--進路指導でスコラ手帳を活用するメリットをどうお考えですか。

佐々木先生:スケジュール管理のしやすさがもっとも大きなメリットです。本校の生徒たちには、定期考査や部活動などに加え、面接練習、インターンシップ、企業見学、試験日など、さまざまな予定があります。企業と自分の予定を照らし合わせながら調整する必要があるので、手帳での管理が非常に役立つのです。

 また、メモスペースがふんだんにあるので、自分の考えを書き留め、後で振り返ることもできます。ですので、集会などの際には、必ず手帳を持っていくように指導しています。

志田司書:私は司書ですが、就職試験前には40名ほどの生徒から面接練習を頼まれることがあります。アドバイスすると、生徒が手帳を出して書き留めてくれるんですよね。もし手帳がなければ、その場にあるルーズリーフなどにメモはするかもしれませんが、すぐに振り返ることができるのは手帳の良さだと考えています。

 手帳があれば指導の蓄積が一目瞭然ですし、生徒本人も「あのときにこんなことを考えていたんだ」と振り返ることでメタ認知につながります。学校全体で共通の手帳を持っているのは本当にありがたいですね。

堀さんのメモの一部。面接練習で指導されたことが書き留められている

スコラ手帳を選んだ理由

--スコラ手帳を選んだ理由をお聞かせください。

佐々木先生:スコラ手帳は早くから学校向けの手帳を展開していましたし、中身がシンプルで使いやすいのが特徴です。記入欄がぎっしり詰まった手帳だと、生徒は最初に「これは無理だ」と感じてしまうと思います。スコラ手帳は取り組みやすく、ハードルが高すぎない。高校生にとってちょうど良い設計です。

堀さん:実際、とても書きやすいです。後ろに成績記録のページがあるのも便利です。去年の点数、今年の点数と蓄積し、比較もしやすいです。

 私は特に、時間割を書くページが気に入っています。工業高校は専門科目が多いので、一般的な手帳だと枠が足りないことがありますが、スコラ手帳は十分な枠があります。こういった点からも、全中高生のための手帳なんだなと実感しています。

佐々木先生:ステップ①~③で書き方の説明が載っているのも、生徒が自力で使えるので良い点です。

志田司書:NOLTYプランナーズの担当の方が定期的に来校していただけるのも心強いです。効果測定のサポートもしてくださいますし、学校の状況を理解したうえでさまざまな施策を提案くださるので、ありがたいです。

手帳甲子園への参加が教員の意識づけに

--今年(2025年)手帳甲子園※2に出場されたきっかけと、感想をお聞かせください。

佐々木先生:正直なところ、全国大会で勝つことを目指していたわけではなく、「学校内での手帳の意識づけ」が参加のおもな目的でした。受賞できたのは予想外でしたが、嬉しい驚きでした。

志田司書:先ほどNOLTYプランナーズさんのサポートについてお話ししましたが、この手帳甲子園の出場についてもさまざまなアドバイスをいただきました。それが、今回の受賞につながったと考えています。

佐々木先生:参加後、先生方からは「生徒を褒める機会になった」「手帳に何を書いているか知らなかったが、今回の機会でわかった」という声をいただきました。また、こちらからも「手帳活用を進めていますか」と声をかけやすくなりましたし、形骸化を防ぐための材料として非常に有効でした。

ウィークリーページにはやることメモや振り返りのスペースも。先生によっては、チェック後に確認済みのスタンプを押してくれるそう

堀さん:生徒の立場からすると、「手帳甲子園」をきっかけに、先生方の手帳に対する理解が深まったと感じています。私の手帳を見て、「こんな使い方があるんだね」と声をかけられることも増えました。

佐々木先生:教員には異動がありますから、月日が流れればどうしても「導入の経緯」を知らない先生が増えていき、生徒への指導にもばらつきが出てきます。有効活用していくには、継続的に何らかの仕掛けを打っていく必要があると考えていたところだったので、手帳甲子園は非常に良いきっかけになったと感じています。

 ※2 手帳甲子園は、NOLTYスコラ手帳の活用により育んだ自身の成長や、個性あふれる表紙のデザインを表現する大会。2025年に開催された第14回大会では、同校2年生の生徒が、独自の手帳活用方法や活用したことで成長したことをプレゼンする「手帳部門」でフリースタイル賞を受賞。また学校での先生の取組みや指導方法などを紹介する「取り組み部門」で優秀校として選出された

導入を検討する先生方へ

--最後に、スコラ手帳の導入を検討している先生方へメッセージをお願いします。

佐々木先生:生徒は、高校を卒業したらすべて自分で管理していかなければなりません。また、生徒が自己管理できるようになれば、先生方の負担も軽減されます。高校生のうちから手帳に記し、書いた内容から振り返ることを習慣化しておけば、生徒にとっても先生にとってもプラスになります。

 先ほど、志田さんも口にしていましたが、メタ認知のためにも手帳は有効だと考えています。書いて「見える化」すると、後から振り返ったときに自己分析や自己理解につながっていく。生徒の成長や可能性を広げるという点で、手帳は非常に役立つと思います。

 今の時代、働き方も生き方も個別化が進んでいます。そうした中で自分のことを自分できちんと管理できるように、強く生きていってほしい。そう願いながら日々指導しています。

堀さん:卒業後も手帳は書き続けると思います。3年間スケジュール管理をしてきたので、急になくなると不安です。手帳で身に付いた習慣が、社会に出てからも役立つのだろうと、今から楽しみです。


 三郷工業技術高等学校の取組みで印象的だったのは、手帳の活用を「形骸化させない」ための継続的な工夫だ。効果測定による可視化、校内での手帳コンテストの実施、図書館での展示、そして手帳甲子園への参加。これらの仕掛けが、生徒だけでなく教員の意識づけにもつながっている。

 堀さんの1年生のころの手帳と3年生の手帳を比べると、記入量も内容の密度もまったく異なり、その成長は一目瞭然だった。「書くことが楽しい」「不安がなくなる」という言葉からは、手帳が単なるスケジュール管理ツールを超え、自己成長を支える存在になっていることがうかがえる。セルフマネジメント力の育成という導入目的が、確かな形で実を結んでいる事例といえるだろう。

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《田中歌耶子》

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