私立高校の学費滞納、3年連続1%以下の低水準…全国私教連

 私立高校で3か月以上学費を滞納した生徒の割合は0.88%と、3年連続で1%を切る低水準となったことが2018年11月29日、全国私立学校教職員組合連合の調査結果からわかった。経済的理由で私立高校を中退した生徒も減少傾向にあり、中退生徒の割合は過去最低であった。

教育・受験 その他
全国私立学校教職員組合連合
全国私立学校教職員組合連合 全 4 枚 拡大写真
 私立高校で3か月以上学費を滞納した生徒の割合は0.88%と、3年連続で1%を切る低水準となったことが2018年11月29日、全国私立学校教職員組合連合の調査結果からわかった。経済的理由で私立高校を中退した生徒も減少傾向にあり、中退生徒の割合は過去最低であった。

 調査は2018年度上半期(4~9月末)、私立高校・中学校における経済的理由での退学と3か月以上の学費滞納の状況を調べたもの。加盟校を中心に32都道府県の私立高校279校(生徒数24万7,489人)、私立中学校119校(生徒数4万4,298人)から回答を得た。

 私立高校で3か月以上学費を滞納した生徒は、調査対象者の0.88%にあたる2,189人。学校数は、調査対象校の75.3%にあたる210校。私立高校で3か月以上学費を滞納した生徒の割合は3年連続で1%を切り、減少傾向にある。

 6か月以上学費を滞納した生徒は、調査対象者の0.30%にあたる746人。2017年の779人から減少しているが、割合は2016年0.24%、2017年0.29%と、ここ3年間で微増傾向を示している。

 経済的理由で私立高校を中退した生徒は、11校14人。調査対象生徒に占める割合は0.0057%と、1998年度の調査開始以来、過去最低となった。

 全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)では、私立高校において学費滞納や経済的理由での中退が低水準にある要因は、「私立高校生に対する就学支援金」と「各自治体単独の減免制度拡充」にあると指摘。文部科学省が低所得世帯とした標準家庭で590万円未満世帯まで自治体独自の支援制度があるのは2018年度19都府県、国に制度がない入学金補助制度を自治体単独で実施しているのは21県にのぼるという。

 一方、私立高校生の学費滞納の実態は、自治体間で格差が拡大している。滞納生徒数の割合が全国平均(0.89%)の倍以上となる2倍を超える自治体は、北海道(2.32%)、岩手県(2.32%)、宮城県(2.12%)の3道県。東北は、青森県(1.67%)や山形県(1.60%)も滞納生徒割合が高かった。

 全国私教連ではその理由について、東北各県は就学支援金加算世帯割合が高いにもかかわらず、国の就学支援金に上乗せする県単独減免制度の支援対象がほぼ授業料に限定され、補助対象世帯の収入が山形県と秋田県を除いて350万円未満世帯に限定されていることをあげている。

 このほか、私立中学校で3か月以上学費を滞納した生徒は98人。調査対象者に占める割合は0.22%。滞納生徒の割合は2012年以降減少し、2018年は生徒数、割合とも過去最低の水準となった。私立中学校を経済的な理由で中退した生徒も2人と、最低水準が続いている。

《奥山直美》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集