奨学金問題、日本学生支援機構が保証人に返金へ
2分の1の支払義務しかない奨学金の保証人に全額請求を続けていた問題で、日本学生支援機構は2019年1月22日、11人の保証人に対して、総額で約140万円の返金を行う考えを表明した。2018年11月1日以降12月25日までに申し出があった60人の保証人に誤った案内をしていたという。
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日本学生支援機構の学資金貸与制度をめぐっては、全額の支払義務がある連帯保証人と異なり、保証人には2分の1の支払義務しかないにもかかわらず、組織的に全額請求を続けていた実態が新聞報道を発端に明らかになった。
これを受け、奨学金問題対策全国会議は日本学生支援機構と文部科学省に対し、保証人に対する全額請求の即刻停止、保証人から取得した支払義務のない金員全額の即時返還を求める緊急声明を発表。2018年12月9日には、「奨学金の保証人ホットライン」を実施した。
日本学生支援機構は、Webサイトに1月22日付で「『分別の利益』に係る誤った案内と返金について」と題した文章を掲載した。保証人が返還者本人や連帯保証人に代わって奨学金を返還する場合、申し出によって保証人が返還すべき金額を請求額の2分の1にすることができ、この申し出は法律(民法)で定められている「分別の利益」という保証人の権利(抗弁権)にあたると説明。そのうえで、2018年11月1日以降12月25日までに申し出があった60人の保証人に誤った案内をしていたことが判明したと記している。
日本学生支援機構によると、保証人からの「分別の利益」の申し出に対し、「保証人の方に請求した時点において、既に保証人の方が返還されていた場合は、返還残額の2分の1から既に保証人の方が返還された金額を差し引いた金額を保証人の方への請求額」として案内すべきところ、「既に保証人の方が返還された金額を差し引かず、本機構より請求した時点における残額の2分の1の金額を保証人の方への請求額」と案内していたという。
誤った案内をした60人の保証人に対しては、日本学生支援機構から連絡したうえで、本来は返還の必要がなかった金額分を速やかに返金する。返金の対象者は11人、返金額は全体で約140万円になる。
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