学校規模適正化の実態調査、国への要望「教職員定数の加配措置の支援」

 文部科学省は2019年2月28日、平成30年度(2018年度)学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査の結果を公表。規模適正化に関する国への要望では、都道府県と区市町村ともに「教職員定数の加配措置による支援」がもっとも多かった。

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域内の市区町村における学校規模適正化に関する認識(都道府県調査)
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 文部科学省は2019年2月28日、平成30年度(2018年度)学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査の結果を公表。規模適正化に関する国への要望では、都道府県と区市町村ともに「教職員定数の加配措置による支援」がもっとも多かった。

 「学校規模の適正化および少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査」は、学校統合による学校規模の適正化や、統合が困難な小規模校における教育の活性化など、各教育委員会における少子化に対応した取組みの状況などを調査。全都道府県教育委員会は2018年10月22日、全市区町村教育委員会は2018年8月1日時点の状況をまとめている。

 都道府県調査では、域内の市区町村における学校規模適正化について、47都道府県のうち77%が「半分以上の市区町村において検討課題」、19%が「一部の市区町村において検討課題」との現状認識を示した。また、4%は「すべての市区町村において検討課題」と回答しており、課題だと考えていない都道府県はなかった

 市区町村の学校規模適正化の取組みについて、11%が「積極的に支援」、79%が「要請に応じて支援」を実施。具体的には、「激変緩和のための学習面・生活面の支援の観点からの人事面での措置」「統合校の教員定数減の緩和措置」がそれぞれ52%、そのほか40%が「事務量・調整業務の増に対する人事面での措置」と回答している。

 学校規模の適正化などについて国からの支援の要望を尋ねる項目では、「教職員定数の加配措置による支援」98%がもっとも多く、ついで「施設整備の補助」85%、「スクールバス導入費用の補助」81%、「統合が困難な小規模校等への支援の充実」64%があがっている。

 市区町村調査では、域内の学校の適正規模について、1,765の市区町村のうち22%が「おおむね適正規模」と答えた一方で、「一部地域に過小規模の学校がある」30%、「一部地域に過小規模の学校があるが、統合の対象となり得る学校がない」12%、「全体として適正規模になっていない」17%などとなっている。

 新学習指導要領の実施にあたっての課題では、過大規模の学校の場合、「教材や教具、備品の不足(ICT機器の整備を含む)」「運動場、体育館、特別教室での学習の制限」など、過小規模の学校の場合、「多様な考えに触れながら自分の考えを広げ深める場面や集団として合意形成をする学習経験の不足」などがあがっている。

 市区町村の85%は小規模校を抱えているが、そのうち8割以上が小規模校のメリットを最大化させる取組みを行っている。具体的には、「地域と連携して地域人材、地域資源を活用した地域学習を実施」83%、「個別指導や補習、繰り返し指導の継続的な実施等による、きめ細かな指導を徹底」81%など。デメリットを最小化させる取組みも8割近くが行っており、「異学年集団での共同学習や体験学習を計画的に実施」73%がもっとも多い。

 学校規模の適正化等について国からの支援の要望では、「教職員定数の加配措置による支援」82%、「施設整備への補助」77%、「スクールバス導入費用への補助」59%と、都道府県の国への要望と同じ傾向がみられた。都道府県からの支援の要望では、「校舎の新増築・改修事業への補助」73%、「事務量・調整事務の増に対する人事面での措置」61%が多かった。

 そのほか、今回の調査では市区町村の統合事例(2017年度および2018年度の過去2年間)を調査。市区町村の22%に統合事例があり、統合の基本的な形態では「小学校同士の統合」184件がもっとも多い。

 統合に伴う通学手段の変化(複数回答)でもっとも差がみられたのは「スクールバス」で、統合前97件、統合後203件と106件の増加。徒歩は統合前273件、統合後は23件減の250件。統合前後いずれも最多の通学手段ではあるが、スクールバスほどの変化はなかった。

《黄金崎綾乃》

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