経営者の視点から…義務教育での飛び級など、経済同友会が提言

 経済同友会は2019年4月3日、「自ら学ぶ力を育てる初等・中等教育の実現に向けて~将来を生き抜く力を身に付けるために~」をWebサイトに公開した。教員免許制度の抜本改革や義務教育における年齢主義から修得主義への転換を提言している。

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経済同友会 提言「自ら学ぶ力を育てる初等・中等教育の実現に向けて~将来を生き抜く力を身に付けるために~」
経済同友会 提言「自ら学ぶ力を育てる初等・中等教育の実現に向けて~将来を生き抜く力を身に付けるために~」 全 2 枚 拡大写真
 経済同友会は2019年4月3日、「自ら学ぶ力を育てる初等・中等教育の実現に向けて~将来を生き抜く力を身に付けるために~」をWebサイトに公開した。教員免許制度の抜本改革や義務教育における年齢主義から修得主義への転換を提言している。

 提言は、新たな学習指導要領の考え方を早期に実現する観点から、政府などで検討が進められている各種制度や企業が取り組むべきことを中心に、経営者の視点から問題意識を整理したもの。総論とともに、各論「子どもたちの多様な学びを実現するために」と題して、「教員養成・研修制度、教員免許制度の抜本改革」「テクノロジーを活用し、学びの質を高めるための規制・制度改革」「企業・コミュニティの役割」についてまとめている。

 「教員養成・研修制度、教員免許制度の抜本改革」では、教員の専門性の再定義、教員養成課程・教員研修などへの企業インターンシップの導入、教員免許制度の抜本改革を提言。抜本改革については、新たな制度設計と実施には一定の時間を要することから、第1段階として「特別免許状制度」の活用促進をあげている。教員免許状は持たない、優れた知識経験を有する社会人などを教員とすることができる制度で、2021年度からプログラミングの内容が倍増される中学校の技術および高校の情報の分野で強力に活用促進することを求めた。

 「テクノロジーを活用し、学びの質を高めるための規制・制度改革」では、テクノロジーの活用による学びの効率化と教員の働き方改革は必要不可欠としたうえで、学校におけるICT環境の整備とテクノロジーの活用は、社会全般に比して大きく遅れていると指摘。

 学校教育法では義務教育の範囲を年齢で定め、各教科なども授業時数や各学年における総授業時数の標準を定めている。経済同友会では、スタディ・ログの活用により、ひとりひとりの進度・理解度をより精緻に把握することが可能となったとして、こうした一律の定めは撤廃すべきとの考えを示した。また、文部科学省に対して、いわゆる飛び級の制度化や原級留置の運用についても改めて検討し、本人の修得レベルに応じた教育を提供することを提言した。

 「企業・コミュニティの役割」では、採用プロセスの変革と社員・OB等の教育への関与を推進することを提言。採用プロセスの変革にて、能力の高い10代とプロフェッショナルとして契約すること、通年採用の主流化を図ることをあげた。学業成績および社会的課題への取組みを重視した採用への転換を着実に進めていくという。

 経済同友会は提言のおわりに、「われわれ経営者も、横並び主義やことなかれ主義、自前主義、総花主義といった、日本企業の競争力を損なっている諸慣習の打破に取り組む」と記し、教育委員として地域の教育政策に携わることや、企業の人材供給やインターンシップの受入れなどを通じ、「将来社会を生き抜く力を有する次世代の育成にさまざまな側面から主体的に携わっていく」とした。

 提言は、経済同友会Webサイトに掲載。また、YouTubeの経済同友会チャンネルにて動画配信も行っている。

《黄金崎綾乃》

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