学校ICT、文科省「先端技術活用推進方策」最終まとめ公表
文部科学省は2019年6月25日、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の最終まとめを公表した。新時代の学校や子どもの学びを実現するため、2025年度までの工程表に「SINET」の本格運用などを盛り込むとともに、安価な環境整備に向けたモデル例なども示している。
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文部科学省
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文部科学省では、2018年11月に新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けた「柴山・学びの革新プラン」、2019年3月にこれを踏まえた中間まとめを発表している。今回、2019年5月の教育再生実行会議による提言や関係者との意見交換を踏まえつつ、中間まとめの内容をさらに深堀りし、最終まとめとして取りまとめた。
最終まとめでは、ICT環境を基盤とした先端技術・教育ビッグデータを効果的に活用することで、子どもの力を最大限に引き出し、「誰1人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」を実現するため、目指すべき次世代の学校・教育現場を具体的に提示し、現状と課題を整理。活用の在り方、諸外国の分析を踏まえた今後の方向性などを示している。
具体的には、日本全国の国公私立大学や公的研究機関などを結ぶ学術情報基盤として国立情報学研究所(NII)が構築・運用する世界最高速級の情報通信ネットワーク「SINET(サイネット)」を初等中等教育にも開放。SINETを活用することで、地理的要因を問わず、費用・時間コストを低減した教育機会が提供でき、遠隔教育、オンラインコンテンツ・校務データ管理などでのクラウド活用、大学や研究機関との交流・連携の強化などが促進されるという。
デジタル教科書・教材の参照履歴、デジタルドリル問題の試行回数、出欠・遅刻・早退など行動記録データ、定期テスト結果など学習評価データなど、収集するデータを効果的に活用するため、「教育ビッグデータの標準化」にも言及。校務系データ、学習系データについて、学習指導要領のコード化を含め、すでに流通している国際標準規格を活用しながら検討し、2020年度中に一定の結論を出す。
学校ICT環境整備の現状(2018年3月)については、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数が、全国平均5.6人。都道府県別では、1.8~7.9人とバラつきがあり、「地域間格差があることは危機的状況」とも指摘。全国的な目標を「3クラスに1クラス分程度」とし、現状では約185万台が不足しているとした。
安価な環境整備に向けた具体的モデルも提示。安価な環境整備のポイントに「安価で一般に普及している機種を時代に合わせて更新(高価・高性能な機種は不要)」などをあげ、関係業界には安価な端末の大量供給について協力を要請する。
また、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」実現に向けた2025年度までの工程表も公表。2020年度までに「先端技術利活用ガイドライン」策定、2022年度までに「SINET」本格運用などのスケジュールを示した。
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