全国高校長協会、英語民間検定試験の不安解消求め要望書
2020年度から運用開始となる大学入試英語成績提供システムについて、全国高等学校長協会は2019年7月25日、受験生や高校の不安解消を求める要望書を文部科学省に提出した。新システムをめぐり現場の不安は増すばかりで、生徒・保護者への説明にも苦慮していると訴えている。
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文部科学省
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大学入学共通テストにおける英語民間検定試験の活用に際しては、全国高等学校協会はこれまでも一貫して「大学入試の枠組みの中の検定試験である以上、生徒が希望する検定を、希望する日時に、希望する場所で受験できることが条件」と発言してきている。
7月8日には、都道府県高等学校長協会長研究協議会を開催し、「大学入試に活用する英語4技能検定」について各都道府県からの現状報告をもとに協議。その結果、不安な点として全都道府県から「生徒が希望する時期や場所で受けられる見通しが依然として立っていない」「受験に対して地域・経済格差があり、対応が不十分」「実施団体ごとの検定試験の周知に計画性がなく、いまだに詳細が明確になっていない」「公平、公正に対する不信が払拭されていない」「活用方法を明らかにしていない大学などがあり、志望するにあたって不安」「障害のある受験生への配慮が事業者ごとにまちまち」の6点が報告されたという。
全国高等学校長協会では「高校の現場は参加検定実施団体などからによるさまざまな情報に翻弄され、次年度のことにもかかわらず、まったく先が見通せないほどの混乱状況になっている」と指摘。協議会の出席者から、「体制が整うまでは実施を見送るべき」などの声が相当数あがったことも明かしている。
さらに制度設計を担った文部科学大臣に対し、責任をもって一刻も早く事態の収拾にあたるよう要求。「受験生に混乱が生じる事態を招かないよう、また現場の校長たちが安心して生徒を受験に向かわせることができるよう、格段のご配慮をお願いいたします」と訴えている。今後は、参加検定実施団体などに対しても要望を予定しているという。
今回の要望書提出について、柴山昌彦文部科学大臣は7月29日の記者会見において「このたびのご要望を真摯に受け止め、今後必要な情報を整理し、さらに丁寧に提供することなどによって、受験生が安心して勉強に取り組むとともに高等学校の現場を預かる先生方が適切に指導することができるよう、さまざまな機会を捉えて積極的に周知してまいりたいと考えております」と述べている。
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