学校の働き方改革…変形労働時間制を導入する法律案が閣議決定

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案が、2019年10月18日に閣議決定された。今国会内で改正法律案が成立すれば、2021年4月より、地方公共団体の判断で1年単位の変形労働時間制が適用できるようになる。

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公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の概要
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 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案が、2019年10月18日に閣議決定された。今国会内で改正法律案が成立すれば、2021年4月より、地方公共団体の判断で1年単位の変形労働時間制が適用できるようになる。

 改正されるのは、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法のうち、第5条関係にあたる「1年単位の変形労働時間制の適用(休日のまとめ取り等)」、第7条関係にあたる「業務量の適切な管理等に関する指針の策定」の2つ。業務の長時間化など深刻な状態にある教師の働き方を見直し、子どもたちに対して効果的な教育活動を行えるよう、学校における働き方改革を推進させるための総合的な方策の一環として講じられる。

 夏休みなど児童生徒の長期休業期間の教師の業務の時間は、学期中よりも短くなる傾向がある。改正法律案では、公立学校の教師の1年単位の変形労働時間制について、地方公共団体の判断により、条例で選択的に導入可能。学期中の業務の縮減に加え、かつて行われていた夏休み中の休日のまとめ取りのように集中して休日を確保することができる。

 また、公立学校の教師が所定の勤務時間外に行う業務の多くが、超過勤務命令によらないものであることなどを踏まえ、文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を定める。上限ガイドラインを法的根拠のある指針へ格上げすることで、教師の健康や福祉の確保を図り、学校教育の水準を維持向上させる。

 萩生田文部科学大臣は10月18日の定例会見において、「学校における働き方改革はまさに特効薬のない総力戦が必要」と述べ、「上限ガイドラインの策定、業務の役割分担・適正化、教職員定数の改善や外部人材の確保などの取組みを総合的に進めてこそ、成果があがるもの」との認識を示した。

 改正法律案は閣議決定を受けて、10月4日より開かれている第200回国会に提出。審議を通過し成立すれば、「1年単位の変形労働時間制の適用」は2021年4月1日、「業務量の適切な管理等に関する指針の策定」は2020年4月1日から施行される見通し。

《黄金崎綾乃》

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