【大学受験】必履修「歴史総合」出題…日本学術会議が提言

 日本学術会議は2019年11月22日、提言「歴史的思考力を育てる大学入試のあり方について」を公表した。新しい必履修科目「歴史総合」を大学入試の出題科目とすべきとし、大学入学共通テストのマークシート式試験を念頭にした出題例も提示している。

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 日本学術会議は2019年11月22日、提言「歴史的思考力を育てる大学入試のあり方について」を公表した。新しい必履修科目「歴史総合」を大学入試の出題科目とすべきとし、大学入学共通テストのマークシート式試験を念頭にした出題例も提示している。

 歴史系科目について新学習指導要領では、「世界史」必修を廃止して近現代の「世界史」と「日本史」を総合した新科目「歴史総合」を必履修科目とし、従来の選択科目「世界史B」「日本史B」に代わって「世界史探究」「日本史探究」を設けている。

 日本学術会議では、今回の高校歴史教育における改革を成功させるため、大学入学者選抜の歴史系科目に関する改善を提言。2020年度から導入される大学入学共通テストのマークシート式試験を念頭に知識・技能と思考力・判断力・表現力をバランスよく問う出題例も提示した。

 大学入学共通テストの地歴科の入試科目については、新しい必履修科目を大学入試の出題科目として、確実に高校生が必履修科目を学習するよう「歴史総合・日本史探究」「歴史総合・世界史探究」「地理総合・地理探究」とすることを提言。各大学の入試科目についても同様に必修科目を取り入れるべきとした。

 「歴史総合」の入試問題の出題に際しては、科目の趣旨を生かし、近現代の日本史と世界史を融合した内容だけでなく、歴史の学び方に関わる出題を心掛けるよう求めている。表・グラフや図像を含む多様な史資料を深く読み解く力を見る問題、文脈に応じた判断の論拠や証明の方法の適切さを問う問題といった出題パターンの多様化なども提言している。

 大学入学共通テストについては、歴史教育改革を定着させる効果的な出題を続けるため、従来のセンター試験の問題点を改善する必要を指摘。「単年度の問題の中で完全に歴史上の地域や時代のバランスを取る必要はなく、数年単位でバランスが取れればよいものとする」「優れた過去問や興味深い史資料は、一定年数経過後は若干のアレンジのうえ、再利用することを妨げない」などの改善点をあげている。

 参考資料では、マークシート式などによる大規模入試を中心として、大学入試の歴史科目の出題における新しいパターンや内容の検討結果を掲載。大学入試センターの出題例の分析では、13の出題例を具体的に取りあげている。大学の個別入試の例についても、大学入試改革の趣旨に合致する出題パターンを紹介している。

《奥山直美》

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