2018年4月、「Benesseこども英語教室」と「子ども英会話のミネルヴァ」が事業統合し誕生した「ベネッセの英語教室 BE studio(ビースタジオ)」。2019年3月に顧客満足度調査をもとに決定した「イード・アワード2019 子ども英語教室」の未就学児の部では、最優秀賞とともに部門賞「先生がよい英語教室」を受賞した。
幼児からの英語教育とその後の英語の「学び」について、ベネッセ ビースタジオ 代表取締役社長の大垣秀之氏に話を聞いた。
ブランド名に冠した「BE」が教室の特長
--このたびはイード・アワード2019子ども英語教室 未就学児の部の最優秀賞のご受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。
--最優秀賞を受賞されましたがどのように受け止めていただきましたか。
「ベネッセの英語教室 BE studio(ビースタジオ)」とブランドを変えたのが2018年4月。それまでは「Benesseこども英語教室」と「こども英会話のミネルヴァ」それぞれのやり方でやってきたところをブランド名を「BE studio」とし、レッスンプランも統一して進めてきました。
お客様、先生方にとっても2018年は戸惑いの多い1年間だったと思いますが、最優秀賞に選んでいただき、お客様、先生方にお礼を申し上げたいと思います。特に、「先生がよい英語教室」の部門賞も受賞できました。これは先生方の自信に繋がるという意味でも、とてもありがたいことだと感じています。
--ありがとうございます。では改めましてBE studioの特長や教室にかける思いをお伺いできればと思います。
英語の教室は通う子どもたちが、本当にやりたいと感じていることがもっとも重要だと考えています。そのことなくして英語力向上はありません。子どもたちの意欲や個性を最重要視して運営することが、2つの事業で共通してとても大事にしていたことでした。
BE studioは名前のとおり「BE」が1番の特長だと思っています。
この「BE」はまずはBE YOURSELFの「BE」です。子どもたちが、この空間ではありのままの姿でいてもらいたい、間違ってもいいんだと安心してもらうことで、どんどんトライし、褒めてもらえる場でありたい。そうした中で自信を持ってもらえれば、次の「BE」のWANT TO BEにつながります。英語を使って何かをしたい気持ちを育て上げることがほかの英語教室と一番大きく違う点であると自負しています。
しかし、ただ楽しいとか嬉しいだけの教室ではなく、そうした気持ちの段階を経て、確かで着実な英語力向上のためのメソッドが整っていることがBE studioの2つ目の大きな特長です。BE studioは発達段階の知見をはじめ、「Benesseこども英語教室」と「こども英会話のミネルヴァ」で培ったノウハウを生かした教室運営や指導方法、教材づくりができることが強みだと思っています。
3つ目は英語力を4技能で測るための仕組みをもっているということです。「GTEC Junior」というのですが、これはタブレットなどのデジタルデバイスで個人の実力を4技能別に計測できる仕組みがあります。システム運用のためには投資も必要となってきますので、ベネッセというバックボーンのあるBE studioならではの特長だと自負しています。
4つ目は習得した英語を実践する場を多くもっていること。私たちはあくまで英語はツールであると考えています。習得したその先は、使いこなすことが目的であるべきです。そのため英語でクッキングやプログラミングをするイベント、英語キャンプなど普段のレッスンとは異なる経験ができる機会も提供しています。子どもたちの興味、関心があるテーマに英語で取り組むイベントは、今後も充実させていこうと考えています。
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0歳からの英語教育ニーズの高まり
--教室に通う保護者やお子さんからはどういった声があるのでしょうか。
先生についてのコメントを多くいただいています。ありがたいことに先生とずっと一緒にやっていきたい、とても信頼しているという声をいただいています。あとは、子どもたちがBE studioに行くのが楽しいと言っていますというご意見が多いです。
--今年の4月から新しい学習指導要領が実施されることになりますが、影響をお感じになられていますか。
とても感じています。最近では小学校5年から教科化されることはほとんどの保護者の方がご存じですし、3、4年から英語活動が入ってくるというのもほとんどのご家庭がご存じです。
そうした中、最近では0歳から通わせたいというニーズが高まっています。ショッピングセンター・モールなどの大型店舗内に併設されるプラザ校の新規出店では、3~4割くらいが0~2歳のコースへの入会になっています。次に多いのが4~6歳です。幼児期からの英語教育に関心があるご家庭が多いと感じています。
BE studioでは、幼児期はまず英語に触れ、お子さまに楽しいと思ってもらうことが第一と考えています。その後、小学生になってからは、個々に合わせて丁寧にコミュニケーションし、その中で英語が好きと感じてもらい、得意になってもらうための働きかけを意識しています。
BE studioでは、おもに日本人先生による「スタンダードプログラム」と、外国人の先生が教える「インターナショナルプログラム」がありますが、たとえばスタンダードプログラムで学んでいただくと、中学生で学ぶような内容が小学生のカリキュラムに含まれています。ですので、小学校で英語が導入されることになっても、不安なことは何もないくらいの状況になっています。
到達度の可視化が重要
--今後、未就学児の英語教室はどのようになっていくとお考えでしょうか。
たとえ幼い頃から英語教室に通い始めても、4歳~6歳でベラベラ話せるということにはなりません。母語である日本語でお考えいただくとわかりやすいと思うのですが、インプットの時期を経てアウトプットができるようになるものなのです。しかし、それがもどかしく思われる保護者の方もいらっしゃいます。ですのでBE studioでは、小学校2年生からタブレットで英語4技能を測れる「GTEC Junior」などを用いて、お子さまの実力を可視化し、保護者の方へお伝えしていきたいと思っています。
未就学児ですとお子さま自身で達成感を保護者の方に伝えることはできません。成果が見えにくいと、やっていることが無駄なのではないかと、保護者の方も不安になるでしょう。ですので、段階を踏んで英語を話せるようになるのだということを保護者にしっかりと伝えていくことが、未就学児の英語教室では大切だと考えています。
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「楽しい」のその先の学びへも対応
--最後に、お子さんに英語力を身に付けさせたい親御さんたちは、特に幼児期にはどのようなスタンスでお子さんたちに接するのが良いとお考えでしょうか。
保護者自身が英語が苦手だったため、英語教育に関わらないほうが良いのではないかと思っている、という声をよく耳にします。ただ、お子さんたちの興味・関心は、保護者が関わってくれることで深まるケースが多いのではないでしょうか。
たとえば英語の宿題も、お母さんが一緒に英語を読むなどして英語に触れてくれると、子どもたちの意欲も全然違います。発音も気にする必要はないでしょう。大好きな人が一緒に楽しんでくれると子どもたちは嬉しいはずですし、そうした「楽しいという記憶」が、英語を学ぶ原動力につながると考えています。
もうひとつしてほしいのは、褒めてあげることです。私たちは保護者の方に、毎回のレッスンでどういうところが成長したかを極力伝えるようにしています。泣かずに教室にいられた、先生の顔を見られるようになったというのも、ちょっとしたことではありますが意欲の表れだと思うのです。
お子さんには環境への順応力があります。親御さんと離れるときに大泣きしてしまったとしても、すぐに泣き止んで大丈夫になったりもします。ですのでそこは安心して預けていただき、ちょっとした変化でも褒めてもらえると、子どもも嬉しいでしょうし私たちも嬉しく思います。
また、今回は未就学児の部で最優秀賞をいただきましたが、BE studioはその後も英語を学び続けられる教室として、カリキュラムを構築しています。
たとえば、去年の8月にリリースをした「BE Talk+」。小学校3~6年生がそれまで習得してきた英語を実際に使えるようにするためのツールで、教室でのレッスンを補完するものです。レッスンでやった内容を、自宅でアプリを用いて定着させ、その後オンラインレッスンの先生と実際に会話で使ってみるという、実践型のサービスとなっています。
これは、先生たちからの「こういうものが欲しい」「こうしたものがあると子どもたちの英語力の向上に役立てられる」という声からできたサービスです。昨年から導入して大変ご好評をいただいていますので、英語習得のステップとしてより多くの方にご利用いただきたいと思います。
また、今年の4月からは、中学生以上向けの「Teens J.H.」をリニューアルします。
2021年度から中学校での新学習指導要領が全面実施となり、対話的な英語活動を充実させることになります。BE studioに通う子どもたちには、そうした新しい学力観にも示されている、自分の意見を根拠とともに話せるように成長していってほしいとBE studioでは考えています。
この「Teens J.H.」は、思考し自分で判断した内容を英語で表現する力を養うためのコースづくりをしています。採用したテキストはナショナルジオグラフィックの写真やビデオを使用した「Time Zones」です。中学生の興味・関心を引きやすい内容で構成された、世界各国でティーンズ向けの英語学習テキストとして採用されているものです。このテキストを用いて、ひとつのテーマで3レッスンを行います。さらに、テーマを展開してタスク活動に取り組み、1週目はブレインストーミング、2週目で自分の考えの根拠や理由を整理し、3週目はクラスの人の前で発表するようにしています。学年も到達度もさまざまな生徒が1クラスにまとまり、授業が行われます。
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それぞれの生徒の興味・関心によるものなので、正解は1つではありませんし、発表内容の習熟度は異なりますが、ひとりひとりに合わせて先生もフィードバックしていくので、習熟度の異なるクラスメートと一緒でも問題はありません。むしろそれが刺激になり、子どもたちは伸びていきます。
また、90分レッスンコースでは学校での学びとうまく繋がるように、「学校ブリッジングパート」というものを設けています。BE studioでの学びがきちんと学校の授業との紐づけされるようプログラムされているのです。
英語学習の入り口の教室としてBE studioをお選びいただくご家庭が多いとは思いますが、今お話したように、小学生、中学生になったときの学校での学びにも対応したプログラムを、BE studioではご用意しています。お子さんが長く英語を学び続けられる「子どものための英語教室」でありたいと考えています。
--ありがとうございました。
年齢に応じたアプローチで子どもたちの「英語が好き」という気持ちを引き出し、やる気へと繋げるBE studio。子どもたちが長く学び続けるための英語教室として、これからの取組みにも注目していきたい。