本を読まない小中高生、不読率は目標に届かず…東京都教委

 東京都教育委員会は2020年3月5日、2019年度(令和元年度)児童・生徒の読書状況調査結果などを公表した。1か月間に1冊も本を読まない不読率は、小2が2.9%、小5が4.2%、中2が9.9%、高2が30.6%。いずれも計画目標値には届かなかった。

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児童・生徒の読書状況調査等の結果(概要版)
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 東京都教育委員会は2020年3月5日、2019年度(令和元年度)児童・生徒の読書状況調査結果などを公表した。1か月間に1冊も本を読まない不読率は、小2が2.9%、小5が4.2%、中2が9.9%、高2が30.6%。いずれも計画目標値には届かなかった。

 調査は、都内の子どもの読書の状況や公立学校・公立図書館の読書活動などの現状を把握し、今後の施策に活用するため、「第三次東京都子ども読書活動推進計画」に基づき隔年で行っている。実施期間は、2019年9月上旬~中旬。調査対象は、都内公立学校の児童・生徒、都立学校および都内公立小中学校、都内区市町村教育委員会、都内区市町村読書活動主管課。

 1か月の間に1冊も本を読まなかった児童・生徒の割合を指す未読率は、「小1」3.0%、「小2」2.9%、「小3」3.8%、「小4」3.1%、「小5」4.2%、「小6」5.4%、「中1」5.1%、「中2」9.9%、「中3」13.4%、「高1」21.1%、「高2」30.6%、「高3」41.3%。学年があがるほど、不読率が上昇している。

 2017年度の前回調査結果と比較すると、「小5」「高2」などで不読率が増加。第三次計画が掲げる計画目標値には、いずれの学年も届かず、「高2」では計画目標値と8.3ポイントの開きがあった。ただ、2019年度の全国調査(全国学校図書館協議会による学校読書調査)の結果と比較すると、小中高生の不読率は全国の「小学生(小学4~6年対象)」6.8%、「中学生」12.5%、「高校生」55.3%を下回っている。

 本を読まなかった理由は、「本を読むことに興味がない」「読みたい本がなかった」が全体的に多く、高校生は「本を読む時間がなかった」という回答も多かった。

 本を読んでいる児童・生徒と、読んでいない児童・生徒の環境を比べてみると、本を読んでいる児童・生徒は「身近な人に本を読んでもらったことがある」「身近な人と本の話をすることがある」など、身近な人と本を通じてコミュニケーションをとっている割合が高い傾向にあった。本をまったく読んでいない児童・生徒の場合は、「どれもあてはまらない」と回答する割合が高かった。

 一方、学校経営方針(計画)に「読書活動の推進」を位置付けている学校は、「小学校」96.7%、「中学校」93.9%、「高校」81.7%と、前回調査より減少したものの、高い割合で推移。学校経営方針に「学校図書館活用の推進」を位置付けている学校も「小学校」94.7%、「中学校」90.3%、「高校」69.2%と、高い割合を示した。

 学校図書館の利用状況は、「小学校」88.5%、「中学校」61.7%、「高校」41.2%。小中高と進むにつれて低下する傾向は続いているが、中学校は前回調査より0.6ポイント増加した。朝や昼休みなどに読書時間を設定している割合は、「小学校」95.3%、「中学校」93.4%、「高校」27.6%。高校は前回調査より5.2ポイント増えた。

 東京都教育委員会では、第三次計画期間において啓発資料やおすすめ本リストの配布など、児童・生徒の成長段階に応じた働きかけを実施。高校生に対しては調べ学習支援など、学校に対しては都立学校図書館の開館日や開館時間の拡大などにも取り組んでいる。

《奥山直美》

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