あしなが育英会、全奨学生に緊急支援金15万円支給

 あしなが育英会は2020年4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大によって減収した遺児家庭を支援するため、全奨学生約6,500人に緊急支援金15万円を一律支給することを決めた。遺児家庭の現状が切迫しており、1日も早い救済措置が必要と判断した。

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あしなが育英会の奨学金
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 あしなが育英会は2020年4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大によって減収した遺児家庭を支援するため、全奨学生約6,500人に緊急支援金15万円を一律支給することを決めた。遺児家庭の現状が切迫しており、1日も早い救済措置が必要と判断した。

 あしなが育英会は、病気や災害、自死などで親を亡くした子どもたちと、親が重度障害で働けない子どもたちの進学を支援している。

 新型コロナウイルス感染拡大による影響が広がる中、遺児家庭の現状を把握し、早急に救済策を検討するため、全都道府県の奨学生のうち、2020年4月に高校3年生になる子どものいる553世帯の保護者を対象に4月1日~10日、オンライン上で緊急アンケートを実施。寄せられた281件の回答には、「収入が半分になり、4月の学費を納入できない」「食費も光熱費も足りず、もう、路上生活するしかない」など、切迫した悲鳴があふれていたという。

 あしなが育英会によると、遺児家庭の母親はアルバイトや契約社員など雇用が不安定な人が大半で、数万円の減収でも生活に打撃を受ける。正規雇用であっても、看護や介護、飲食、接客業など、感染リスクが高い職に就いている人も多く、「私が感染したら、子どもはひとりぼっちでどうやって生きていくのか」と不安にさらされている。

 こうした悲痛な声を受けて、あしなが育英会は「遺児の生活と教育の緊急支援金」として、全国の奨学生1人につき15万円を一律で支給することを決めた。対象となるのは、奨学生である高校、専門学校、短大、大学、大学院の生徒・学生約6,500人。このうち、口座が登録済である2年生以上の約5,000人には4月中に入金。口座を登録作業中の1年生約1,500人には作業完了次第、迅速に送金する。

 あしなが奨学金は、毎年春と秋の「あしなが学生募金」と寄付に支えられているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年春に予定していた学生募金が中止となり、財源の大幅な減収も懸念されている。今回の「遺児の生活と教育の緊急支援金」の交付については、奨学金の安定交付のための積立金を取り崩してでも、今この瞬間に食べるものにも困っている遺児と母親を助けるためには1日も早い救済措置が必要との考えから決断したという。

 寄付は随時、郵便振替やクレジットカード、Yahoo!ネット募金、softbankつながる募金などから受け付けている。

《奥山直美》

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