感染拡大後の生活満足度、夫の家事・育児役割も影響…内閣府

 内閣府は2020年6月21日、新型コロナウイルス感染症による生活意識・行動の変化について調査結果を公表した。約7割の子育て世帯で、家族と過ごす時間が増加。感染拡大前より生活全体で満足度が低下したが、夫の家事・育児役割が増えた家庭は、低下幅が小さい傾向にあった。

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重要性を意識するようになったこと
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 内閣府は2020年6月21日、新型コロナウイルス感染症による生活意識・行動の変化について調査結果を公表した。約7割の子育て世帯で、家族と過ごす時間が増加。感染拡大前より生活全体で満足度が低下したが、夫の家事・育児役割が増えた家庭は、低下幅が小さい傾向にあった。

 「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」は5月25日~6月5日、国内居住のインターネットパネル登録モニター1万128人を対象に実施した。回答者のおもな属性は、就業者6,685人、子育て世帯(子どもが18歳未満)2,168人、学生1,035人、シニア(60歳以上)2,532人。

 感染症拡大前と比べて、重要性をより意識するようになったことは、「家族」49.9%、「社会とのつながり」39.3%、「仕事」21.9%。生活全体の満足度は、感染症拡大前の5.96ポイントから、感染症影響下は4.48ポイントに25%(1.48ポイント)低下。小学生の子を持つ専業主婦の低下幅はさらに大きく、感染症拡大前6.61ポイントから、感染症影響下は4.26ポイントと、35%(2.34ポイント)低下した。

 家事・育児への向き合い方の意識は、男性の5割超、女性の6割超が「変化した」と回答。子ども(末子)の年齢層が低いほど変化した割合が高く、小学生未満の家庭で特に多かった。

 家事・育児に関する夫婦間の役割分担の変化については、26.4%が「夫の役割増(やや増を含む)」、10.4%が「夫婦ともに役割増」、16.7%が「妻の役割増(同)」、46.3%が「変化はない」と回答。テレワークの利用など、夫の働き方が変化した家庭に限ると、「夫の役割増(同)」は31.7%にのぼった。

 夫婦の家事・育児の役割分担と生活満足度との関連をみると、夫の家事・育児役割が増加した家庭は、妻の低下幅が1.0ポイント、夫の低下幅が0.6ポイント。夫婦とも生活満足度の低下幅が小さい傾向にあった。

 夫婦間の家事・育児の役割分担について、「感染症拡大前よりも工夫するようになった」と答えた人は34.1%。地域では、「東京都23区」で45.1%、「東京圏」で41.6%と高かった。「工夫するようになった」と回答した人のうち、「その工夫は、今後も継続すると思う」という人は66.5%であった。

 家族と過ごす時間は、「大幅に増加」23.5%、「増加」22.2%、「やや増加」24.6%をあわせて、70.3%が増加したと回答。テレワークや勤務日制限、フレックスなどの働き方を経験した人では、増加が77.7%にのぼった。「増加した」と回答した人のうち、「現在の家族と過ごす時間を今後も保ちたい」という人は81.9%にのぼった。

 一方、小学生以上で一番年齢の低い子どもについて、今回の感染症の影響下で経験した教育をすべて回答してもらったところ、オンライン教育を受けている割合は、「東京都23区」69.2%、「東京圏」57.2%、「大阪・名古屋圏」52.2%、「地方圏」33.9%と、地域間で大きな差がみられた。学校の先生からオンライン授業を受けている割合は、「東京都23区」26.2%、「東京圏」17.1%、「大阪・名古屋圏」8.7%、「地方圏」6.7%と、さらに差が大きかった。

 学生に対して、通学している学校でオンライン授業を受講したか尋ねた結果では、大学生・大学院生は「通常通りの授業をオンラインで受講した」74.7%、「一部の授業をオンラインで受講した」20.7%と、「受講した」は95.4%にのぼったが、高校生は5割にとどまった。感染症拡大前と比べた学習時間(自習・授業・研究などの合計時間)は、増加と減少の二極化がみられた。

《奥山直美》

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